10月25日 プライド
昨日は、学校から帰ってゲームをしていたので、妙にスッキリした気持ちになっていた。
ー10月24日ー
村山先生は、私たちの意見をきちんと聞きながらも、全く引く気はなかった。
村山「みなさん、さっき私がなんて言ったか覚えてますか?」
俺の集中力もきれてきた。まだ、みんなは村山の話に耳を傾けている様だった。
横山「そんなの覚えてねぇーよ」
村山「他に、誰か覚えてる人いますか?」
八幡「覚えてないって言ってるだろ」
村山「なるほど。まぁ、もしかしたらこの中で、私の言ったことを覚えている人がいるかもしれませんが。一応、もう一度言いましょう」
さっきまで、話をしていた篠木は、なにも言えなくなっている。俺の席から篠木の後ろ姿が見えた。
村山「学校では、組織上、教師が上にくるんですよ。だから、生徒がどれだけ声を上げようと、変えるか変えないかはこちらに決定権があり、あなたたちに決定権はないのです。篠木さん、この意味がわかりますか?」
篠木「つまり、私たちの行動は無意味だということですか?」
村山「そういうことです」
篠木「でも、現にこうして説明してくれてるじゃないですか。それは、私たちが声をあげたからだと思います」
村山「たしかに、そういう意味で言えばそうかもしれません。でも、あなたたちがやっていることを、先生側がしたらどうしますか?」
村山「篠木さん、どうなりますか?」
篠木「‥‥‥」
俺の集中力は、限界が近づいてきた。椅子を揺らしながら、なんとか耐えていた。
村山「篠木さん、答えなさい」
村山先生は、語気を強めた。
篠木「何もできなくなります」
村山「そうですよね。それが現実なんです。私は、あなたたちに加担するつもりはありません。ただ、かといって先生側に加担するつもりもありません」
そう言えば、昨日していたゲームの中で、アイテムを全て使い切っていないことに気がついた。今日のオンライン対戦で使ってみることにした。もう、全く村山先生の話は、耳に入ってこなくなっている。
村山「高校3年生の最後の年がこんなのでいいのですか?みなさんの生き方は、カッコよくないですよ。プライドを守ろうと必死なだけにしか見えません。もっと楽しんでください」
村山先生は、私たちに何か伝えようとしている様に見えた。篠木の背筋が真っ直ぐになったように見えた。




