新人冒険者、現る!?
ギルドに帰って、クエスト完了報告を済ます。
薬草採取で銀貨1枚、ゴブリン討伐で銀貨3枚となった。
これで一日分の宿代を稼げた。
この調子でクエスト完了していけばランクアップして、さらに賞金が上がり貧乏生活が抜け出せるかもしれない。
「よし、がんばるぞ!」
ギルドから出て空を見上げると、まだ日が落ちてない。
まだ時間があるので、情報収集を始める。
知りたいのは、この世界の地理と魔法関連だ。
ということで、街を探索しつつ図書館または本屋を探そう。
街を歩いていると出店から様々な物が売っていた。
料理品は多いが、アクセサリー、骨董品、魔道具や回復薬など売っている。
食べ歩きしたいが、お金に余裕がないので我慢。
「お嬢ちゃん、試しにこれ食べてみるか?」
と、急に料理品を売っている出店のおじさんに呼び止められた。
串をこちらに渡そうと手を伸ばしている。
串の先端にはハチミツで作られた飴みたい。
「ありがとうございます。頂きます!」
おじさんに貰った菓子を試食する。
パクリと口の中に入れる。
ハチミツが固まって、甘みが口の中に広がっていく。
「あまー!」
昨日、今日食べてた味の薄いもの食べてたので、いきなり甘味を食べると頭に衝撃が走る。
もっと味わいたい……。
俺の反応を見ていたのか、続々と人が集まってきた。
さすがはアリシア、笑顔が輝いてる!
そこからは出店出してる料理店に試食を勧められて、お腹が満たされたことに満足する。
その後も歩いていると、本屋を見つけた。
中に入り本の値段を確認すると、銅貨8枚~銀貨3枚となっていた。
しかも同じタイトルが複数並んでいる。
この世界では安価で本が手に入ることができるみたい。
簡単に模写できる技術または魔法があるのか?
ついファンタジー物語を基準に考えてしまう。
とりあえず、情報を得ないと……。
立ち読みが出来ないので、本を購入する。
本屋から出てすぐに本をアイテムボックスに仕舞う。
◇
昨日と同じ宿の宿泊手続きを行ったので、部屋に戻りさっそく本を読む。
この世界には巨大な大陸が5つ存在する。
その5つの中で一番大きい大陸がセントラル大陸と呼ばれている。
そのセントラル大陸を囲うよう東西南北に4つの大陸がある。
それぞれ、イースト大陸、ウェスト大陸、サウス大陸、ノース大陸と呼ばれている。
今自分が居るのはセントラル大陸の中にある”セントラル・モナミク王国”という国らしい。
このセントラル大陸に存在する国は全て”セントラル”が付く。
この本を読んで大陸や国名はゲームに存在しなかった。
これでゲームの世界じゃないということが証明された……。
「別に帰還しなくてもいいか…、これからはアリシアとして楽しく生きていこ」
◇
それから一週間が経った。
討伐系のクエストしか受けずに達成して、本日に昇格試験というランク一つ上のクエストも達成して冒険者のランクが一つ上昇した。
「アリシアさん、明日9の刻にギルドに来てください」
「えっ?何かあるのですか?」
「アリシアさんは昇格したので、新人の教育をしてほしいです」
「私の時はなかったですよね?」
「アリシアさんの防具や杖って強力な魔力を纏っているじゃないですか。一目瞭然で実力者だと分かりますよ」
「だからと言って、私に教育なんて出来ませんよ!」
「アリシアさんならやれると信じています!」
不安あるものの、ここまで受付嬢さんに言われたら引き受けるしかないだろう……。
「分かりました。新人教育引き受けます……」
「ありがとうございます、アリシアさん」
◇
次の日に約束の時間前に冒険者ギルドに着く。
そこには二人の少女と受付嬢さんがいた。
一人は火のように赤く綺麗なポニーテールと少し吊り目の瞳の女の子。
よく見ると革の軽装に左腕には丸い盾と左側の腰に片手剣がある。
もう一人は透き通って綺麗な空色で後ろが腰まで伸びたストレートロングとジト目にメガネの女の子。
黒いローブを着ていて、右手には分厚く表紙の中央に紫色の珠が目立つ。
剣士と魔法使いみたいな組み合わせだ。
「アリシアさん、こっちです!」
受付嬢さんが手を振っている。
それを見て二人は俺の方に視線が向く。
「この人が私達の教育係ですか?」
「そうですよ。アリシアさんというE級冒険者です」
「……凄く可愛い」
「Eランクの人で大丈夫ですか?一つ上なら私達と同じぐらいじゃないですか」
「ヒナさん、アリシアさんの実力は私が保証します。これまで討伐してきた魔物は全て一つの傷のみで頭が矢で射貫かれた状態で持ってきてます」
「……ヒナ、この人強いよ」
「何が?」
「昨日までF級で全て一撃なんだよ?しかも全部頭以外の外傷はないって。私も魔法使いだけど一撃で倒せるのか怪しい」
「っ! 先程、失言でしたすみません、アリシアさん」
「う、うん。私も疑う気持ち分かるから大丈夫だよ?」
「ア、アリシアさん!」
ヒナという子が私の手を包むように握ってきた。
何この子、素直で可愛い!
「アリシアさん、これから私たちのことよろしくお願いします! まだ自己紹介してなかったですね。 私はヒナと言います。 一応、剣士を目指してます!」
「よろしくね、ヒナちゃん」
「は、はい!」
「アリシアさん、私はウィンです。見習いですが魔法使いです」
「よろしくね、ウィンちゃん」
「はい」
「次は私ね。 私の名はアリシアです。ウィンちゃんと一緒で魔法使いだよ」
ということで、しばらくはヒナちゃんとウィンちゃんと共にクエストを行っていきます。
「ウィンちゃんは何の魔法が得意なの?」
「風魔法と水魔法です……」
風魔法?水魔法?
何それ、知らない。
「アリシアさんは何の魔法が得意ですか?」
「私は攻撃魔法、支援魔法と防御魔法が得意だよ」
「っ!! 聞いたことがない魔法を扱えるなんて!先生の言葉でさえ聞いたことない魔法を扱えるなんて凄いです、アリシアさん!」
「あはは……。 それでウィンちゃん、その先生って?」
「はい、ヒナと私の故郷にいた私たちの魔法の先生です! アリシアさんみたいなエルフの方で村一番強かったのです! 私は風と水の適正があって、ヒナは火と光の適正があったので、それぞれ先生から習っていました」
ウィンちゃんってさっきまでテンション低いというかクールな印象だったけど、魔法の話をしたら目を輝かせてハキハキと喋ってる。
ウィンちゃんも可愛いなぁ。
それよりも、水魔法や風魔法とかはこの世界特有の魔法なのか?
本屋行っても魔法に関する書物は見当たらなかったし、ほとんど物語が描かれた本しかなかった。
ゲームには属性の概念はあった。
防具や武器にはそれぞれ部位ごとに有利不利属性が六つ設定されていて、攻撃魔法は七つの属性ある。
可能性としては、攻撃魔法というカテゴリから分解されて伝わったとか?
でも、この世界はゲームじゃない。
やっぱり、この世界特有の魔法なのかな?
ウィンちゃんから見て私は凄腕魔法使いと見られている。
ここで魔法に関してあれこれ聞いたら失望されちゃう。
それはいけない、ここは二人と行動して魔法を観察しないと。
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