78- 死屍累々
「あれー、前に会ったときとは全然違うねー」
「当たり前ですよ! 私だって成長してるんですから!」
【魔剣】を背中に前線の機械兵を蹴散らしていきます。
どうやら前線はビルドアーマーが使えなくなってしまったようで、敵を抑えるのに手いっぱいだったようです。
「吹き飛べ!」
「数だけはいっちょ前だねぇ」
「私たちにとっては最高の獲物じゃないですか?」
「【魔剣】の本来の性能って殲滅型じゃないんだけどねぇ」
「その威力で何言ってるんですか!」
「これでもただの余波だよ?」
「天井が見えない……」
「それを言ったらお姉ちゃんだって体積の割には出力おかしいけどね」
「それを言われちゃどうしようもないですけどね!」
腕にエネルギーを送り、横に薙ぎ払って敵を一掃します。
【魔剣】側も剣を大きく横に振り、黒い波動が敵の大小かかわらず、装甲もろとも豆腐みたいに切断していきます。
まさに死屍累々の有様です。
敵が機械兵のせいか、残骸として残ってしまうので、より強く見えます。
「――やりすぎですよ」
「まぁいっぱいいたからね。 もっともっと倒さなきゃ!」
そういって、私の背中方向に、飛んで行ってしまいました。
「好戦的な子ですね……」
『はぁ、はぁ…… あー! 怖かった!』
「静かだと思ってましたが、黙っていただけですか」
『あの波動はだーめだぁ。 何か私の体の方がエラー出してるもん。 ふぃー怖』
「どうします? 【魔剣】のいない方向に行けばもっと敵もいそうですが、変わります?」
『しばらくはいいや…… ちょっと自由にやってて……』
「――わかりました」
そういえば少しやってみたかったことがあったんですよね……。
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『――セツナにしては珍しいね。 レーザーを使わないなんて』
「たまには乙なものですよ。 それにせっかく作ったんです、使って上げませんと」
低空を踊るように飛び、ガトリングショットガンを両手に持ってばらまいていきます。
『イケイケーー!!』
「ノリノリじゃないですか!」
実際鉛の豪雨は楽しいです。
バララララというチェーンの音とショットシェルの発射音、そして敵の体から鳴る金属の破裂音。
「――堪りません」
もっともっと行きましょう!
チェーンをさらに延長し、鳥の尾羽のようになりながらも発射していきます。
『そろそろガトリング自体がだめになりそうだけども?』
「別に壊れても問題は無いですよ! このためにしっかりと再生する素材を使いましたからね!」
とうとうガトリングの銃身を焼き切り、鉛の豪雨が止んでしまいました。
「――意外と早いものですねぇ」
『そんなもんでしょ。 あんなに撃ってたら。 ほら、味方の前線も押しあがったし、また後でやろうよ』
私が前線の少し前で暴れていたため、停滞していた前線を無理やり動かしたらしく、前線組が拠点の政策を始めています。
「私一人が特攻しても本隊がたどり着けません。 迷惑になるかもしれないので、少し休憩としましょう」
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拠点は初期拠点の簡易版のようなもので、1つのテントと4本のアンテナのようなものが四方にあります。
あれが拠点を示す印何でしょう。
「よぉ、セツナ。 やったな」
「あの研究室ぶりですか…… ケイ、久しぶりです」
どうやら前線組にいたらしく、ケイが呆れた顔で話しかけてきました。