77- マナ
探査船が【アナイア】へ着くと同時に、たくさんのプレイヤーが我先にと【アナイア】へ踏み込んでいきます。
「邪魔だ!」
「お前もだ!」
「「「ウォォォ!!!」」」
『――落ち着いて降りた方がいいと思うんだけどなぁ』
「まぁ気が高ぶるのもしょうがないです。 イベントですので。 落ち着いていきましょう」
上陸地点から見える空が緑や赤などの色が混じっています。
明らかに別のところに来たって感じがしますね。
しばらくすると詰まっていたプレイヤーもいなくなり、テントと言った、簡易的な拠点が見られます。
「流石にあんまり進んでないみたいですね」
『まだ時間たってないしね。 そんなもんでしょ』
「ええ、早速ビルドアーマーを使って暴れられる…… あれは、マナですか」
テントの付近を困った感じにでうろちょろしています。
どうしたんですかね?
「どうしました?」
「あ、さっきのお姉ちゃん。 ビルドアーマーを広げる場所が無くて」
「そんなに大きなビルドアーマーですか…… 大きさはどのくらいで?」
「高さが10メートルぐらい」
「――結構大きいですね。 いいでしょう。 上に飛んで探してみますか」
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マナの手を持ってぶら下げながら空を飛びます。
『ねぇ、マナって子に協力していいの?』
「別に大丈夫だと思いますよ? イベント序盤ですし、助けてあげましょうよ」
「お姉ちゃん! あったよ!」
マナが足を巧みに使って場所を教えてくれます。
少し小高い丘になっていて、前線に近いながらも安全そうな場所です。
「わかりました。 行きましょう」
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「ありがとう! セツナお姉ちゃん」
「ええ、どういたしまして…… 私いつ名前を教えて……」
マナがマントを脱いでいます。
装備はゴスロリのような黒いフリフリのドレス。
そして、背中にあるのは真っ黒な1本の剣でした。
「まさか!」
「そういえば、ミロク抜きで会うのは初めてだったっけ? まぁ見ててよ。 【顕現せよ、堕ちし英雄よ! 魔剣に力を!】」
マナが地面に黒い剣を突き刺し、そこを中心に魔法陣が形成されます。
魔法陣からたくさんの細い黒い光が出現し、それが形となって顕現します。
「【魔剣】……!」
完全に形を成した後、突き刺した剣が巨大化し、その右手にがっちりと握られます。
「へへ、前に会ったことあったから少しからかっちゃった。 このイベントはPVEの協力戦。 一緒に頑張ろうね、セツナお姉ちゃん!」
マナが消え、【魔剣】に光が宿ると、即座に前線へ飛んで行ってしまいました。
「リアが会ったことあるというのは合ってましたね…… でも覚醒前……」
『それほどあれから出る波動がやばいってこと……』
「――まさかのお出ましですが、私も暴れましょうか!」
『おー!』
私も背中の翼にエネルギーを叩き込み、【魔剣】の後を続きます。