68ー ミロクの目的
「私の持ってるスキルは【剣之王】ただ一つ。 まぁこの中にいくつかのスキルが内包された混合スキルなんだけど…… これを封印すれば私はただのプレイヤーになる。 普通にHPは削れるし、そのまま死ぬ」
「結構ひどいことしますね、運営も」
「何、大体のイベントはそういう一文が追加されたし、別にこっちで何とかするからどーってことないよ」
「そうなんですか。 私も初めてなので頑張りたいですね」
『私も!』
リアも乗り気なようです。
楽しくなりそうですね。
「そっかぁ…… それならまずはビルドアーマー無しでも戦えるようにしようか」
「『ごもっとも』」
まともな武器群は軒並み破壊されています。
まぁ破壊したの私なんですけどね。
ビルドアーマーは1時間しか動かせないらしいですし、何か考えておいた方がよさそうですね。
「幸い素材たちはいっぱい転がっています。 ここを有効活用させていただきましょう」
『一番おいしい中央部分はまあ無様なことになってるけどね』
「――待てばいいんです」
前途多難ですが、何とかなるでしょう。
きっと。
「そういえばどうしてここまで来たんです?」
メールで行くとか言ってましたが、理由までは書いてませんでしたね。
「暇つぶし…… と言いたかったけど今回はそうもいかないんだなぁ。 ねぇセツナ、ここの中央ってどこ?」
「中央ですか、わかりました、ついてきてください」
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夜の真っ暗闇にライトを照らしながら崖際を移動します。
「――セツナ、私嫌な予感がしてきたんだけどさ」
「多分、その勘は正解ですよ。 中央は大体あの地下鉄に入るための場所みたいなところです」
「――何もかも消し飛んでる。 消し飛びすぎて地面が丸裸。 ここまでくるとむしろ清々しい」
「で、何しにここに来たんです?」
「私のビルドアーマーの素材集め…… って所かな?」
「【聖剣】の再建…… ですか?」
【魔剣】になる前のビルドアーマー【聖剣】。
最強を冠し、【全勝】の異名を持つビルドアーマーです。
「流石にあれはもう無理。 素材の1個1個がもう激レアすぎて。 今回は私の普段使い用の奴」
「へぇ…… ミロクがどんなの作るか興味ありますね」
「――あなたがそそるようなものじゃないとは思うよ?」
「でも楽しいじゃないですか。 他人のカスタムを見るのは」
「気持ちはわからなくもない…… それなら一緒に素材集めに行く? ここは潰れちゃったし」
「――ミロクほどの強さのプレイヤーが他人に頼むってのも聞きませんね」
「一人じゃ無理なところもあるってことよ」
『つまりボッチってわけぇ!』
腰からハンドガンを抜き取り、下に向かって射撃します。
「セツナの体じゃなかったら今頃粉々だったよ?」
『ごめんなさい』
「――リア、私の体何ですから気を付けてください」
切るのは抵抗があるとはいえ、打つのに抵抗があるかはまだ分かりませんからね。
『――ハイ』