64ー 殲滅戦
『どうよぉ! セツナ!』
「ええ…… いいと思いま……す。 ちょっと酔いが……」
他人のゲーム画面を見続けていると酔いやすいと言いますがまさかここまでとは思いませんでした。
ちょっとギブアップです……
『酔っちゃったの? それならゆっくり休んでなって。 後は私がやっておくから』
「ええ…… よろしくお願いします」
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『さて、どんどん行こうか!』
さっきに比べるとプレイヤー数が少なくなったけど、数はまだまだいるし、どんどん減らしていこう。
『どっせーの!』
「クソ! シール、ガハッ!」
近場にいた男性プレイヤーのお腹を殴り、遠くに吹き飛ばす。
その殴りの衝撃波で飛んでいった方向のプレイヤーもなぎ倒されていく。
「リーダーが! 全員射撃用意!」
『やっと抵抗らしい抵抗が見れた気がするよ?』
後ろの方にいたプレイヤーの号令で近辺のプレイヤーが銃を構えるも、即座に急上昇し、回避する。
『【魔龍脚】!』
「畜生! どんどん減っていってやがる! 迫撃部隊!」
『遠距離か。 さっきのレーザー見てなかったのかな? 【アンバランス】』
遠くから紫色の球が山を描いて飛んでくるが、レーザーで薙ぎ払って落としていく。
「――ビルドアーマーすら紙みたいにぶっ壊すとは。 バケモンかよ」
『誉め言葉どうも。 それじゃあね!』
迫撃砲の球を撃ち落としたレーザーでそのまま打ち殺す。
「おいおい…… ここのボスは倒したんじゃねぇのかよ……」
「どこからあんなエネルギーを得ているんだ……? まるでボスみたいな……」
『雑談してていいのかな?』
「「何でここにいるんだよ!」」
『移動してきただけだよ! 【アンバランス】!』
右手の爪で2人を切り裂く。
同時にその斬撃で後ろにいたプレイヤーも切断されていく。
『こんなにいるのになーんか手ごたえないなぁ…… もういいかな。 【リベリオン】』
背中の羽が大きく開き、大きなエネルギー球が生成される。
その弾はどんどんと大きくなっており、逃げるプレイヤー達を飲み込んでいく。
「う、うわぁ!! に、逃げろ!」
「誰!? 安全地帯って言ったのは!」
「知らないよ!」
「むしろあいつがボスじゃねぇか!」
「悪魔かよ……」
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『――まあ誰も耐えられないか。 秩序相手だったら微々たるダメージのはずだったんだけど…… あれ? まだ生きてるプレイヤーがいるみたい』
少し遠いけど、エネルギー球の範囲内だし、エネルギー球が止んでから来たとは考えにくいしなぁ……
『行ってみようかな? 【アンバランス】』
羽にエネルギーを送り、生き残ったプレイヤーのお腹目掛けて突っ込んでいく。
「――私を確認できないなんて。 少し熱中しすぎかな?」
紺色の髪を回しながら簡単に避けて、後ろ首を掴んで地面にたたきつけられる。
『放せ……!』
「少しやりすぎ…… ねぇ」
『いいから放せって! 【アンバランス】!』
腕と羽にエネルギーを送り、目の前のプレイヤーを投げ飛ばす。
『何か今までと全然違うね……』
今までは鎧袖一触だったけど、目の前の敵は歯ごたえがありそう。
体勢を直してプレイヤーの方を見ると、相手もこっちを見ていた。
「ねぇ」
『――何?』
「あなた…… 誰?」
目の前の紺色のロングヘア―に黒いボディスーツを着たプレイヤーが金色に輝く剣を持ちながら、こっちを冷たくにらみつけていた。