61- 番外 運営の苦労
「部長! 惑星【アース】の演算用コンピュータに過負荷反応です!」
「へぇ…… 5%切っただけで過負荷反応扱いなのに30%とは中々珍し…… 何だこのレーザー」
運営用の監視カメラには惑星規模の超太いレーザーが映っていた。
どうやら重力に逆らえるだけの力はあるらしく、伸びたレーザーは宇宙の暗闇の向こうに伸びてしまっている。
演算用コンピュータも化け物みたいな性能をしているから落ちはしないだろうがかなりのリソースを持ってかれただろう。
「それで? 発射者と発射対象は?」
「前に部長が金づるに使おうとしたセツナってプレイヤーですね。 発射対象はオルドルです」
「――威力が高いと派手で見栄えがいいっていうがそこまでやれとは言ってないんだよなぁ……」
「というか今これがライブされているんですが、ここって結構な素材入手場所のはずなんですよ。 ただオルドルっていう全ロス能力もちがいたから誰も入らなかっただけで」
「となると…… 結構な人数が我先にと集まりそうだな。 大丈夫か? 流石に私と同性がタコ殴りはちょっと見るに堪えんな……」
「そこはPVPなので何とか反撃してくれればなーと思います」
「前にミロクと【魔剣】のPVPを見ているはずだからできることは知ってるだろうけどな」
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「あれ? 部長、何やってるんですか?」
「ん? ああ、サーバーの回線強化とコンピュータのスペック強化の出願だ。 今のうちに出しておかないと間に合わない」
「ちょっと前にもスペック強化入りませんでしたっけ?」
「ああ、あれか。 あれはメイン用だからな。 今回はイベント用だ」
「そういえばそろそろいい時期ですね……」
「本部からもらっているデータも中々にデカい…… というか星丸ごともってきた」
「なるほど、ド派手ですね」
「ああ、久しぶりのどでかい祭りだからな。 みんな! 間に合わせるぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
もちろん、この号令を見る人が見ればただの残業確定なのだが、勢いというものは中々に恐ろしい。
普段広すぎてプレイヤーが合うことがほとんどないアナザーコスモスの惑星たち。
今回はそう散らばったプレイヤーたちを一つにまとめてしまおうというのだから。
「しっかしまぁ、国ごとに別の星を用意しているっていうんだから驚きだねぇ」
今、私の手にあるのはイベントの企画書、その表紙には
【緊急任務 プラネットアナイヤ・インベージョン】
そう書かれていた。
「ネーミングセンスだけは無いみたいだなぁ……」