58- 幸福、そして秩序 2
「えーっと…… この状態になったら次はこの2つの鍵を……」
【王家の手記】に書かれている手順にそって作業を進めていきます。
まずこのブロックが光り輝いたら、赤の鍵を【龍血晶】の乗っている6角柱に、白い鍵を【龍骨晶】の乗っている柱に突き刺して同時に回します。
『いい感じいい感じ…… 何かが流れ込んできてるよ……』
「艶めかしい声出さないでくださいよ……」
次はキーボードで【Sei glücklich, Menschheit】というコマンドを打ち込むんでしたね。
――これなんて読むんでしょうね。
英語はそこまで得意というわけではないのでよくわかりませんね。
「そして、2つのコアの出力パラメータを増幅させて……」
2つのコアが勢いよく光を放ち始めます。
『結構なエネルギー量だけどあのレーザーを経験しちゃうと何か物足りないねぇ……』
「実況どうも」
出力を増幅させた2つのコアをこの幾何学的な模様のついたブロックの中に入れるように指示を出し、最後にこの【王家の手記】を中央に入れれば、後は機械が勝手にやってくれるとのことです。
『うわぁ…… これの中身こうなってたんだ……』
「何か楽しそうですね、リア」
『結構面白いよ? 何がどうなっているのかはよくわからないけども』
「へぇ…… ん? 進んだみたいで……」
ブロックをよく見ると、【王家の手記】がブロックの中に飲み込まれたらしく、代わりにブロックの中央が開いて、真っ赤なカメラがこっちを見ています。
『Sind Sie Gegenstand des Experiments?』
「なんて?」
『Sind Sie Gegenstand des Experiments?』
何かよくわかりませんが何か返事しておいた方がいい気がします。
「はい…… でいいんですかね?」
『Wissen』
「ガハッ!」
『セツナ!? 大丈夫!?』
「はい…… 一応……」
カメラに返事をした途端、ブロックから伸びた杭が私の胸に向かって突っ込み、貫通し、背中のビルドアーマーごと貫通します。
抜こうとしても抜けないので、どうやら向こう側が反しになっているみたいです。
「アアアアアアアア!!」
『本当に大丈夫! ねぇ!』
杭から電流のようなものが流れ、HPが徐々に減っていきます。
痛みの割にHPの減りが少ないのがある意味きついです……
「ガッ!」
背中にも細い杭が何本も突き刺さり、体の中でぐりぐりと何かをいじり始めます。
『止まって! 【円環之龍】解除! ――何で効果が切れないの!』
「リア…… 多分これが正規の実験ルート何でしょう……」
『でもセツナが死んじゃう!』
「どうせ死んでも生き返るだけですよ…… 死んだらどうなるかは分かりませんけど」
――そういえば……
こんなアイテムありましたね……
【仮初の心臓】
デスペナルティ無しでその場で蘇生できる。
消費アイテム。
あの頭のない天使から落ちたアイテムです。
死蔵しそうでしたが使い道、出てきましたね……
「最後の運はこれに託してみましょうか!」
電撃によるスタンにより、私の視界は真っ暗になりました。
因みにコマンドはすべて日本語をドイツ語に直訳した単純なものなので時間があったら翻訳にかけてみては?
因みにわかったからって特に何もありません