57- 幸福、そして秩序 1
――とりあえずリアを起こしてから話を進めましょうか。
6角形の柱に【龍血晶】と【龍骨晶】を乗せると、2つが光り輝くと同時に、ブロックにも幾何学的な模様が走ります。
『ふわぁ…… おはようセツナ。 また会えるのはもう少し後だと思ってたけど結構早かったね』
「また私の体を乗っ取るつもりでしたか? お姫様?」
『お姫様だなんてそんな、王族とか名ばかりのただの貴族の端くれ…… これいつ話したっけ?』
「これに書いてありましたよ? あなたの身分も」
ぺらぺらと【王家の手記】をめくってリアに見せてみます。
『へぇ…… 目が覚めたら急にこんな快適な空間に押し込められたんだろうなーって思ってたけど、通りで【円環之龍】なんてものを知ってたのかぁ……』
「――ここに書いてあることが確かならそうですね」
『まあこの中は結構住みやすかったから別に何とも思ってないんだけどねぇ』
「その中住みやすいんですか…… 外とか出れなくて結構きつそうなんですけどね」
『ずっと引きこもりだったからねぇ。 ぶっちゃけ今の方が楽なんだけど……』
「だけど?」
『やっぱりイラつくからこの【幸福、そして秩序】って実験を私たちで完遂させない? この科学者のせいで私はこんなまん丸になっちゃったしさ。 だったらいいでしょ、この王様の阻止したかった実験を私たちがやっても』
「なるほど、つまりはただの憂さ晴らしですか」
『まあ言っちゃえばそうだね! 後は正しく発動したらどういう結果になるのか気になるんだよね。 つまりはただの好奇心』
「もしそっちの結果でもオルドルみたいなエネミーが出たら嫌なんですけどね……」
『多分大丈夫でしょ。 秩序は暴走結果らしいし。 今回やるのは私と隣の奴の正常稼働だもん。 もしかしたら秩序の力も手に入っちゃうかもね』
「オルドルの力ですか……」
あの圧倒的な防御力、そしてあの巨体を動かすだけの超エネルギー……
「ロマンありますね……」
『あんな爆発寸前のエネルギーを何でこうも笑えるかね……』
・
・
・
実験に失敗してまたオルドル戦をやるのも嫌なので、【王家の手記】をしっかりと読み込んでおきます。
『どう? いい感じ?』
「ええ、思ったより簡単そうです。 ただ素材集めが大変なだけだったみたいですね」
『じゃあ準備はいいね?【円環之龍】起動!』
リアが【円環之龍】を発動させた瞬間、2つのコアが光り輝き、同時に下のブロックにも幾何学的な模様が描かれました。