56- 隠し部屋
隠し扉の奥には、大きい長方形ブロックがポツンと置いてあります。
あの博士の自室…… というにも歪ですね。
あの長方形の物体以外には何もありませんし、明かりがないのに明るいです。
『ここから先の閲覧には博士以外は禁止されています』
「自分で見ろってことですね」
『はい。 博士』
ブロックの上には、鍵穴のようなものが横についています。
この鍵がマスターコードってあのロボットが言っていたのでたぶん使えるでしょう。
黒い鍵を長方形に突き刺すとブロックの上面にキーボードのようなものと、2つの首輪が付いた白と赤の鍵と6角形の柱が浮かび上がってきました。
「――こういうのはリルが得意そうなんですがね」
幸いロックはかかってないのでポチポチとキーボードをいじって目的の物を探しましょうか。
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しばらくキーボードをいじっていると、実験【幸福、そして秩序】の研究計画のようなデータが出てきました。
それを見ると、どうやらこのブロックは実験の舞台となる機械のようです。
実験の舞台となるこのブロックと発動方法の書かれた本を開けるための3本の鍵、そして実験の心臓部であるオーダーコアとカオスコア。
この中でこの博士が手に入れることができたのは舞台と鍵、そしてオーダーコアだけのようです
「でもオーダーコアがこの機械にはまっていないんですけどね……」
そういえば暴走したって言ってましたね。
もしかして。
【龍骨晶】
アンブラル結晶の最高品質品
普通のアンブラル結晶の数倍のエネルギー発生効果を持つ。
だが、最高品質ゆえの白さため、膨大なエネルギー以外は内部で消滅してしまう。
オルドルのたくさんのドロップ品の中にありました。
多分最後に残ったあの白い宝石がこれ何でしょうが、おそらくオーダーコアです。
これがあの実験によって暴走してオルドルになったんでしょうね。
――そうすると消去法でカオスコアは【龍血晶】になるんですよね。
さらに言えばこの見覚えのあるマークってあの【王家の手記】に書かれたマークと同じじゃないですか……
「はぁ…… 【龍血晶】には楽しませてもらったとはいえ、なんて爆弾を私一人に抱え込ませるんですか……」
ぶつくさ言いながらも、ブロックの上にある2つの鍵を取り、【王家の手記】の鍵を外していきます。
外れなかったらそれはそれで気が楽なんですが、見事に一致し、3つの鍵が外れてしまいました。
内容は、この博士の実験計画にあった通り、【幸福、そして秩序】の正規の発動方法でした。
この本によると、このブロックは二つのコアに施す作業を簡単にするための安定化装置のようです。
ブロックに浮き上がっている六角形の柱の上に二つのコアを乗せればまたリアと話すことができそうです。
「うーん…… 発動方法ばっかりでどういう結果が起きるかは書いてないですね…… おや?」
ぺらぺらとめくっていると、一枚の紙が本から滑り落ちていきました。
『我が国の優秀な科学者が反逆としてオーダーコアを暴走させてしまった。 防御のできない一般市民はすでにアンドロイドにされてしまっている。 この星が滅ぶのも時間の問題だろう。 幸い、すでに国の重鎮は、ほかの星へ避難させてあるが、その星まで暴走の余波が回ってしまっては叶わないので、制御に必要なカオスコアは封印処置を行ってこの手記と共に隠すことにする。 封印処置に必要な人柱には第八継承者のリアがいいだろう。』
――あんまり見たくなかった内容でしたね。