54- リアへの尋問
さて、余韻に浸るのもほどほどにしてこの後どうするか考えましょうか。
「ていうか…… 何ですかこの断崖絶壁は……」
あのレーザーを撃っているときは何にも考えずに撃っていましたがいざ惨状を見るとドン引きですね。
地面は底が見えないくらいにえぐり取られています。
これを撃っただけのエネルギーを作り出した【龍血晶】もすごいですがこのエネルギーに耐えたノヴァメタルもすごいですね……
実際、外装は普通の金属だった大砲も、中にノヴァメタルでコーティングしてありましたし。
そういえばリアはどうなったんでしょう。
「リア、リア! 起きてくださいよ」
返事がないで……
『――んぁ』
「今反応しましたね? ねえ?」
『――――』
「わかりました。 そっちがその気だったら…… カチ割りますよ?」
カチ割るための材料はここにたーんまりとあるのでね。
『ハイ! わかりました! ごめんなさい!』
ゆっくりお話と行きますか。
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龍の形になってしまったビルドアーマーから【龍血晶】を取り外し、残った部分を修繕するために自分で宇宙船に送ります。
というか腕も折れてるし足もないじゃないですか。
ビルドアーマーが支えになっていたから立ててたんですね。
――回復アイテム買っておけば良かったです。
「さて…… 聞きたいことはたんまりあるんです」
『何から聞きたいのかな? 私にこたえられるなら何でも答えるよ?』
会話の抑揚に合わせて【龍血晶】の光り方が変わっています。
中々器用なことしますね。
「何で今、オルドルと戦うこのタイミングで出てきたんです。 今まではどうしてたんですか」
『今までは私の稼働できるぐらいのエネルギーが足りなかったから。 あの秩序に飲まれて中のエネルギーが【龍血晶】に流れ込んで私が起動したの。 あ、一回起動したらそれなりに持つから心配しないでね』
【ドラゴンブレス】の時のエネルギーって結構な量だと思ってたんですけどそうでもなかったんですね……
何か感覚がインフレ起こしそうです。
「へぇ。 じゃあ次です。 あなたは一体何なんです? 前ははぐらかされてそのまま体を乗っ取られましたが、今度はしっかりと説明してもらいますよ」
『――私の名前はリア。 なんてことないただ【龍血晶】の中にいる……』
中途半端に自己紹介をして【龍血晶】の光が消えてしまいました。
どうやら時間切れみたいですね。
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ビルドアーマーの修復が終わったので呼び出してみると前のスラスターのあった姿ではなく、龍の形に変形しています。
腕は折れてるし、足は無くなっているしで補強しなきゃならなかったので今となっては良かったですね。
【龍血晶】をビルドアーマーの元あった場所に戻して【アンドロイドの墓場】の中央に向かいます。
本来、私がここに来た目的は素材回収です。
たまたまオルドルとかいう化け物がいたからこんなことになってしまいましたが、これからはそんなことを考えずに素材を回収できますね。
――再出現とか勘弁願いたいですね?
ミロクに聞いてみましょう。
【アンドロイドの墓場】は中央に行けば質のいい素材が手に入るようになっていますが……
「まぁ、消し飛んでますよね」
見事にえぐれてしまい、素材を回収するためのアンドロイドどころか地面さえありません。
下を向いてもなぜか残っている地下鉄の入り口みたいなものくらいしか……
ん?
何で周り以外の物は消し飛んでいるのにこの地下鉄の入り口だけは残っているんです?
近くに飛んで行ってみてみると、入り口は開いており、簡単に入れそうでした。
たまたま入り口がレーザーの進行方向に見ていたおかげで助かったんでしょうね。
「この高さはアンドロイドの残骸どころか地面の中にあるはずです。 それに加えてオルドルがいるせいで満足には探索はできないはずです……! 楽しくなってきました……!」
【ダンジョンクエスト 『トラル国営研究所』 を開始します】