52- 覚醒
「――中々面白いことするじゃん?」
目の前にいるのは紛れもなくオルドルだろう。
だけど大きいサイズの時でも強かったエネルギーがさらに強くなっている。
大きいときのエネルギー量を小さい体で使っているためか、エネルギー密度が大体1万倍近くになっちゃっているけど。
『――ギャ!』
「動作も確実に殺しに来てるね!」
オルドルは右手の爪を使って攻撃し、私がそれをはじくと同時にオルオルから生えた細い触手で後ろからレーザーを放つ。
即座に触手を翼を使って弾き、空にレーザーを撃たせる。
技の威力や攻撃の種類もそうだが、私に確実なダメージを与えるような攻撃に変わってきている。
そろそろ【龍血晶】に押し込んだセツナが起きてきてもいいころだからさっさと終わらせないと。
「【インフィニティ】!」
背中の【龍血晶】が強く光り輝くのと同時に全身が赤いオーラにまとわれていく。
そしてその赤いオーラをまとったまま、オルドルの懐に飛び込み、拳でぶん殴って吹き飛ばす。
さらに腕の大砲でレーザーを放ち、遠くに吹き飛んだオルドルを追撃する。
『ギュゥァ…… グルァァ!!』
オルドルも白いオーラを口に巡らせ、レーザーで相殺しようとし、2つのレーザーがぶつかり合って大爆発を起こす。
「どっせーの!」
爆発で上がった白煙に突っ込むように移動し、殴り飛ばそうとするも、どうやらオルドルも同じことを考えていたらしく、拳と拳がぶつかり合う。
「はらしゃー!」
『グゥスグルァ!』
意味不明な叫び声と共にどんどんと拳を出すも、オルドルもそれをガードする。
オルドルもそれに続いて尻尾で攻撃してくるも、左腕を使って相殺し、反動でお互いの距離が離れてしまう。
ガードの衝撃によってどんどんとアンドロイドの残骸が巻き上がっていき、オルドルはそれに液体金属を這わせ、多数の砲門を作り、そこからレーザーを発射する。
見た目は細いが、威力は段違いのそのレーザーをバク転で回避し、両腕の大砲でアンドロイドの残骸を消し飛ばす。
「もういっちょ! 【アンバランス】!」
前は左腕に集めていたエネルギーを今度は大砲に集め、オルドルに向かってぶちかます。
『グルゥ!』
オルドルはあたりに散らばっているアンドロイドの残骸を使って分厚い壁を作るも、次々と貫通し、とうとうオルドルに命中する。
「はは! やっと見せてくれたね! 秩序の弱点! 【アンバランス】!」
空中に浮いて、脈打っているオルドルの核のよう物がとうとう姿を現す。
私はそれに向かって即座に両腕のレーザーを撃つも、即座に集まった液体金属が強固にコアを守り、レーザーをはじいていく。
「これでもダメか!」
『グルァ!!!』
再生したオルドルが咆哮を放つと、今まで以上の量のアンドロイドの残骸を空中に浮かせ、オルドルの口の周り目掛けてレーザーを放つ。
「――げ」
オルドルの口で蓄積されているレーザーは周りの小さいレーザーによって威力が増大し、どんどん球が大きくなっていく。
確実に私を消し飛ばして勝負を決めようとしているんだ。
「畜生! 【リベリオン】!」
【リベリオン】によってリミッターを外した【龍血晶】と動力結晶のエネルギーの円環によって増大したエネルギーを大砲に叩き込んでオルドルのレーザーを迎え撃つ。
今回はお互いの威力が凄まじいのか、ぶつかって相殺される地点で大爆発が起きるも、お互いのレーザーは止まる様子は無く、中央付近で相殺を続けている。
『――そんなもんですか。 【龍血晶】に封印されたっていうからロマン火力の申し子だと思っていたのに残念です』
「って! セツナ! いつから起きていたのさ!」
『いいから体返してください』
「いいけどこの状態からどうするのさ」
『いいから黙って返してください。 私が本物ってやつを見せてやりますよ』