48- 【亜音速(ソニックジェット)】の本気
お昼を食べ終わった後、早速ログインして作業の続きです。
【アース】の合流座標は先に教えてあるのでさっさと完成させて形にしなくては。
「にしても面白い物質ですねぇ……」
【ノヴァメタル】をクエスト待機所の床においても全く形状を変えることなく球を維持しています。
触ればへこみはしますが感触として柔らかいのに硬いです。
その上金属とは思えないほど軽いです。
すべてが常識外過ぎて気持ち悪くなってきますね。
「量的にも性質的にもこれ単体でスラスターを作るのは無理そうです」
それならば今取り付けてある場所を保護するように使いましょう。
具体的には【龍血晶】から供給される先のエネルギー経路の内壁にまとわせます。
液体金属なのが幸いしているのか、とても加工がしやすくちょうどいい厚さにコーティングができるのでスラスターの内部や【ドラゴンブレス】の発射口、そしてそれにつながるエネルギー経路すべてに【ノヴァメタル】まとわせることができました。
まさか最高のレア素材がこんな使い方をされてしまうとは思いもよらなかったでしょうね。
待たせているのも悪いので早くいきますか。
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【アース】の合流地点。
ミロクがどこぞの戦闘民族みたいにふわふわと浮いていました。
何しているんですか全く……
「何で浮いているんです?」
「ん、ああ、ただ浮いてるだけ。 それよりそれが新しいビルドアーマー?」
「ええ、どうですこのスラスター。 いいスピードが出そうじゃないです?」
「装甲や攻撃力をガン無視してスピードのみを追求したロマン仕様って感じじゃん。 セツナが好きそう」
「攻撃力は【ドラゴンブレス】があるので一定以上の火力はありますよ」
まあそれ以外ありませんが。
「ふーん…… うわ、本当に【ノヴァメタル】でコーティングしてあるよ。 普通はこんな高出力から守るとかしないから武器とかに使うのに……」
「そういう基本的な使い方は基本的なことをしている人に任せればいいんです。 そろそろ始めますよ【チャージ】」
「どんなパワーかお手並み拝見と行こうじゃないの」
【チャージ】が完了し、いつでも放出できます。
前はこの時に吹き飛んであの惨事が起きたのでしょうが、今回はそうはいきませんよ。
「行きます! 【全開放】!」
【龍血晶】から放たれた超々高出力のエネルギーが解放されました。
前まではエネルギー―の濁流に耐えられず爆発してしまいましたが、今回は【ノヴァメタル】でコーティングされた通路を通りスラスターから上手に放出することができました。
一応は成功で……
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「あれ?」
何でまた地面に立っているんです?
また失敗ですかね?
でも今回はちゃんと飛べたはずなんですがね……
どうなってたかミロクに聞いてみましょうか。
追記
昨日のは許してクレメンス……