40- 最深部
「あのー…… 後で弁償しますのでどうにか……」
「わかりました……」
これでとうとう私の持っているまともな武器はこのパイルバンカーだけになってしまいました。
まあまともかといわれるとどうかと思いますがまともです。
【ドラゴンブレス】の心臓部である【龍血晶】は生きていたので後で直すとして先に進まなくては。
――普段使っているバッテリーパックの数倍のエネルギーが入っても【龍血晶】は無事でしたしもっと高火力を求めてもいいかもしれませんね……
「おい、セツナ、笑顔が少し怖いぞ」
「へ、ああ、すみません。 それで次はどっちに行けばいいんです?」
「あっちを見てくれないか?」
そういってケイは【ドラゴンブレス】が消し飛ばした岩盤の先を指さします。
指を刺した方にはうっすらと赤紫色の光が見えます。
「多分あの光が最深部だ。 俺らがドラゴンを倒した後で通るはずだった場所をレーザーで広げちまったせいでこうも大っぴらになっているがな」
さっき撃ったレーザーが本当に高火力だったことがきれいにくりぬかれた円形から見れますね……
「リルのレーダーはエネルギー切れで完全にダメになっちまったがまあ、見通し良好だし大丈夫だと思うぞ」
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岩のトンネルをまっすぐ進んで赤紫色の光源まで歩いていきます。
赤紫色の光源は部屋の中央に浮いている球体らしく、制御装置のようなものの中央に向かって生えている6本の円錐に支えられながら光を放ち続けています。
かなり広い部屋ですが敵はいないようでこの制御装置以外には何もないので探索は簡単ですね。
「さて…… 普通、こういうことはリルの仕事ではあるんだが……」
「あいにくさっきのレーザーでエネルギーを使い切ってしまったので使えません」
「一応エネルギーパックなら余ってますが……」
「無理です。 これを充電できるのはクエスト待機所だけなんです」
まあ充電できるとは到底思ってませんでしたがね。
「にしてもこれ何なんでしょうね」
「最深部にあるくらいだしこの施設の心臓部だったりするんじゃないの?」
『正解だよ。 このくそったれどもが』
「誰だ!」
声の方見るとさっき消し飛ばしたはずのロボットがそこに立っていました。
『さっきのは一体何なんだ。 あれっぽっちのエネルギーをあそこまで増幅する物質なんぞここの研究でも見つからなかったというのに…… 全く、この神聖な空間にあんな大きな風穴を開けやがって』
「それはどうもありがとうございます。 あなたの最高傑作なら私も最高傑作を、と思いましてね」
あながち間違いではありません。
『そうか! それはどうもありがとう! そのせいでドラゴンの次の奴が消し飛んでしまったがここまでたどり着いたのなら仕方がない。 私が相手をしよう!』
ロボットが両腕を大きく上にあげると1台の鳥のようなものが上から降ってきて背中に合体しました。
『これがわが最強装備! 超高エネルギーによる高速移動! 超火力だ!』
そう言い背中の羽を大きく広げます。
「――ここ室内ですが飛べるんです?」
『――あ』
おいおい。