35- 似たものどうし
リルが出すギザギザ線の通りに曲がっていくと青い球の所で金属でできた大きな扉を見つけました。
そしてその隣にはちょうどカードキーをはめ込めそうなくぼみがありますね。
ここが目的地で間違いなさそうです。
リルが機械からカードキーを取り出しくぼみにはめると扉が勢いよく開きました。
部屋の中にはかごいっぱいの金色の塊が辺り一面に積み上げられています。
「おお、金じゃないですか。 ――金にしては少し軽いですかね?」
「どうやらこいつは金じゃない、真鍮だ。 洞窟の上層でもポコポコ出てくるから価値は低いな。
まあここまで大量にあれば真鍮で台座込みの像が作れるかもな」
はずれでしたか。
まあこんな浅い層でいいものが出るのもどうかと思うのでいいですけど。
「そんなもの作るほどナルシストなプレイヤーも少ないと思うけどねぇ。 それよりこれ見てよぉ、パソコン。 電源ボタンっぽい場所を押したけど反応がなかったからリル、お願いねぇ」
「こういうものは任せてください」
リルが機械から電線を伸ばし、パソコンに貼り付けるとアンテナが回り始めました。
アンテナが大体5周したあたりでブザー音が鳴り、パソコンの画面が光始めました。
「この周辺の地図みたいです。 ダウンロードできるようなのでダウンロードしておきますね」
リルが何か操作をし画面にゲージが現れました。
ここまでガードらしいガード無しです。
パソコンを開く手段がなければ見られないのでいいんですかね?
『カタカタカタカタ』
ハイ、知ってました。
周りに転がった真鍮の塊が動き出し、大きなクモの形を形成しました。
「戦闘準備! リルは敵の弱点を探れ!」
「だめです! ダウンロード中なので使えません!」
昔の低スペックパソコンじゃないんですから動いてくださいよ。
「そういうことなら私から行くわねぇ。 大体弱点っていうのは中央っていうものよぉ」
ルイスがアサルトライフルでクモの頭目掛けて発射します。
弾が腹と頭を貫通し後ろの壁に当たりますが特に大きなダメージを与えたような気はしませんね。
「貫通弾は有効じゃないみたいだねぇ。 中央じゃない場所にコアでもあるのかなぁ?」
「【破斬】!」
ケイが片方の足をすべて切断しますが、多少バランスが崩れただけで即座に再生してしまいます。
「効かないとは思いますが!」
私も接近しパイルバンカーを発射しますがお腹の半ばあたりで杭が止まってしまい、バキバキと嫌な音を立てて杭がひしゃげていきます。
「もしあのクモが自分に吸収するような技を打ってきたら私たちもああなるんですかね」
それだけは勘弁願いたいですね。
「多分な! ちくしょう! 【破斬】!」
会話はできますが辛そうです。
私とルイスは射撃系なので何もできないのが悔やまれます。
「――そうだぁ。 ねえねえセツナ。 これあげる」
【火薬】
ごく普通の火薬
無難な爆発を見られる。
「これをどうしろと? 爆弾でも作りますか?」
はじかれて自爆がオチな気がしますがね。
「ちがうよぉ。 これをこうして……」
そういってルイスは耳打ちで話します。
「――なるほど。 いいじゃないですか」
ルイスが耳打ちで作ってほしいと言っていたものは【爆砕ボルト】という発射後爆発するという素晴らしい代物です。
これを金色クモにお見舞いと行きましょう。