30- 黒くてかさかさしたやつ
うわぁ……
何ですかこれ。
ゴキブリ? クモ?
そもそも虫かどうかも怪しくないです?
「全員戦闘態勢! セツナは俺と一緒に前線を! ルイスは遊撃! リルはこいつの弱点を探れ!」
「任せてください」
「本気で行くよぉ」
「わかりました!」
目の前の黒い球体がたくさんある足のうちの2本のうち、ケイは攻撃を受け止め、私は大剣を使い攻撃を逸らし、地面にクレーターを作ります。
「なかなかやるじゃないか」
「あなたもよくその攻撃を受けられますね」
もろに食らったらただじゃすまない威力であることはクレーターを見れば一目瞭然ですからね。
「採掘用のパワー機体だからな! その代わり兵器類はこの大剣だけだ! 【バスターソード】!」
「あったれー!」
ケイはその足を大剣で切断し、間髪入れずにルイスが黒い球体に発砲しますが黒い球体に飲み込まれた後、球体の中から爆発らしき衝撃音が響きました。
徹甲弾というやつですかね?
中々いいじゃないですか。
「全然効いている感じしませんね」
ケイが切断したはずの足も再生し、細いコウモリのような足が2本に生え変わっています。
「むー 一番高い球なのにぃ。 着弾したら爆発する球だから本体はかなり小さいのかなぁ」
「リルはどうだ」
「解析まだです! こいつ今までのエネミーとはタイプが違います!」
『ギャギギギギギギャァン!!!』
「全員回避!」
黒い球体が2本の足を地面にたたきつけ金属音のような咆哮を上げた後、黒い球体が縦に割れ、細いレーザーを地面に向けて出し、地面を爆発させます。
避けるために球体の左に移動すると球体の一部が欠けていることに気が付きます。
あそこが弱点ですかね。
「――まあ防がれますか」
欠けを目掛けて大剣を振り下ろしますが球体がはやした足に阻まれてしまいます。
「解析出ました! エネミー名ポカダム! 体がエネルギーで構成されているらしく本体は中央一点のみです! エネルギーには上限があり、足の再生にもエネルギーを使用します!」
「流石リルだ! 足を折ることに全力を注げ!」
めちゃくちゃに有能じゃないですか、リルってプレイヤー。
敵には回したくないですが今回はありがたい限りです。
ポカダムが攻撃をするために足を上げると同時にルイスが射撃し足を爆砕させます。
「太さによって硬さが違うみたいだねぇ。 細いのは任せといてぇ」
攻撃方法が分かるとなれば早速反撃です。
大剣で足の横なぎを地面にたたきつけ、踏みつけて固定した後でスラスターの加速を大剣にのせ、足を切断します。
再生した細い脚はルイスがまとめて爆砕してしまいます。
「【バスターソード】!」
ケイも一回切断しただけあって切断がスムーズです。
『ギュゥォ……』
しばらく足を切断していると無数の足が引っ込む代わりに球体に無数の穴が開きました。
「エネルギーの反応は火です! 回避を!」
ポカダムにあいた球体のすべてから火が噴射し、私目掛けて突っ込んできました。
最後の悪あがきみたいですが運のツキですね。
転がってくる火の玉を回避し洞窟の壁に衝突させます。
壁にぶつかったポカダムの火はだんだんと収まり、おぼろげな黒い球体が壁にめり込んでいました。。
「これで終いだ! 【バスターソード】!」
ケイがポカダムの中心を切断し、完全に動きを停止させました。