28ー 人助けっていいですよね
しばらく探索を続けていると洞窟の遠くの方から金属をたたく甲高い音が聞こえました。
プレイヤー……ですかね?
この星はビルドアーマーでの移動を前提にしているせいかめちゃくちゃに広いんですよね。
しかも初期出現位置はみんなバラバラらしいのであの時ネロに出会えたのはめちゃくちゃに運がいいらしいんですよ。
「エネミー以外との戦闘はそういえば初めてですね…… どんなのが出てくるか……」
念のため【ドラゴンブレス】のチャージをしておきましょう。
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音の方に行ってみると3人のプレイヤーが大穴のドラゴンから羽を取ったようなオオトカゲに襲われていました。
かなり劣勢のようで一人は前線から引いています。
横取りはマナー違反ですし助けに行った方がいいですかね……?
「そこのプレイヤー! 頼む! 少し手伝ってくれ!」
言質イタダキです。
「ええ、耳抑えといてください」
スラスタ―でトカゲの上に陣取り、胴体目掛けて【ドラゴンブレス】をぶちかまし、トカゲと洞窟の地面に風穴を開けます。
「洞窟だと反響がっ……」
耳栓作っておけばよかったですね……
話しかけられたプレイヤーの方を確認すると一人の男の人がこっちを見て唖然していました。
「ちょっとやりすぎましたかね……?」
「あ、いや…… いいんだが……」
「うわぁ。 すっごい火力だねぇ」
「耳がぁ、耳がぁ!」
――落ち着くまで待ちますか。
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「さっきはありがとう。 俺の名前はケイ。 それでこっちは」
「私はルイス」
「ボクはリルって言います」
大穴を覗いていたのがルイス。
のたうち回ってたのがリルで、リーダー格のごつい人がケイですね。
「ていうか聞きたいんだけどさぁ。 さっきの攻撃どんなのだったの? えーっと……」
「セツナです。 【ドラゴンブレス】のチャージビームです。 火力はピカイチですよ」
まあミロク達には負けますがね。
「セツナ…… なるほど、掲示板で騒がれいる張本人ですか。 それならあの火力も納得です」
情報屋のおじさんも言ってましたね。
私の名前が妙に広まったと。
「まあ一発撃ったらリロードですけどね。 それがまたいいのですが」