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187- 何で病院食は薄いのか

「――夜ですね」


「そうだね」


 検査が終わり、意識が完全に覚醒したときに窓から見えたのは真っ黒な空でした。

検査を始めたのが3時ごろってのもありましたが中々に時間がかかっていたようです。


「とりあえず一日入院ってのは決まってるし部屋は開けとくよ。 ゲームは…… やる?」


「用意できるならぜひとも」


「了解、後でこっそり持ってくね」


「――こっそりって」


 本当は駄目なんじゃないですかね?

先生がどれほどの暴挙を許されてるかは知りませんがいいんですかね。


「ま、VRシステム中のデータを貰えた礼だよ。 無理は通すさ…… それとさ少し聞きたいんだけどさ」


「? 何をです?」


香衣かいってそんなに運動できたっけ? 跳び箱も飛べないほどって聞いてるけどVR空間ではめちゃくちゃに動いてたし今ではリアルでもパルクールできるって聞くじゃん」


「ただ体を思った通りに動かしてるだけなんですよね。 VRの方は美空みく曰く、「リミッターを外した動きがVRでも出来てるから」らしいですが」


「神経系か……? 前のデータが少ないから分からないな」


「前に比べるとむしろこっちの方が動きがいいですよ」


「そうか…… 分かった。 ありがとう、聞きたいことは十分だよ」


「そういうことならゲーム機を持ってきたころにでも」


「へいへい」



 ベッドで寝ているときに食事を看護師が持ってきてくれました。

とりあえず味は薄かったです。


「こーんばーんわー ご飯は美味しかったかなー?」


「流石病院、味が薄い薄い。 前に何回も食べてたのに慣れることはなさそうです」


「ま、あんなもん慣れない方がいいんだよ。 それで…… はい、ご所望の奴」


 私が前に付けてた医療用のVRシステムです。

しっかり持ってきてくれたみたいですね。


「それじゃ、ごゆっくり。 あ、流石に3時にはやめにしてね」


「わーかりましたー」


 早速ですが始めますか。



「――やっぱり何か違う気がする」


 家にあるVRシステムを使う時より動きが滑らかな気がするんですよね。


「値段の差というやつですかねー」


 さて、何しましょうかね。

やるんだったら対ミロク決戦用のアーマーでも作った方がいいんですが……


 マザーシップの隅っこの椅子に座ってると見覚えのあるこんもりマントが姿をあらわしました。

丁度いいタイミングでマナも始めたみたいです。


 ひらひらと手を振っているとあっちも私に気が付いたみたいですね。


「――なんでぼーっと座ってんのさ。 やることないの?」


「今からアーマーでも作ろうかなって」


「そういえばセツナのアーマーって龍の装着式だったよね。 ロボットでも作るの?」


「多分装着式になるかなと」


 私のコアからエネルギーを供給する以上体と密着していた方が具合がいいです。


「そういえばお金あるの? 2つ目のアーマーって確か所有権を買わなきゃダメだったはずなんだけど」


「――さて、金策しますか」


「ま、こうなるか。 今の私は気分がいいから多少は手伝うよ」


「ところでいくらぐらい必要です?」


「ざっと5万」


 ――道は遠い。


「いや、私が離れて行ってるだけか……?」


「何の話?」


「イエ、ナニモ」

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