146- 軍団とミロク
「――やっぱり遠いな」
双眼鏡で巨人を見る。
空襲、そして狙撃も成功、特に狙撃は頭部を吹き飛ばしている。
最初の攻撃としては上々。
だが同時にとんでもない物も見た。
ミロクだ。
今まで1本の剣を構えていたことはあったが二刀流というのは初めて見た。
「何で急に…… また」
「ストラ様」
「お、戻ったか! で、どうだった」
「あの爆発源ですが、案の定というべきかセツナ様が爆発源のようです」
「――むしろ笑っちまうな」
ミロクはセツナ相手だと割かし感情的になりやすいところがあるからな。
多分セツナが死んだことでその原因を取り除こうと躍起になっているんだろう。
「いかがいたしましょうストラ様」
「ああなっちゃ止まらんだろ。 今後【軍団】のメンバーはミロクの援護をするように」
「御意」
私の【軍神】も発動しているから足手まといになることは無いだろう。
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「とりあえず刻むか」
2本の剣を平行に振り両腕を切断する。
切った腕を即座につなげて大砲をこっちに向けてくる。
「いや、だから再生力よ」
発射の瞬間に頭の後ろにワープする。
「ストラの航空機甲部隊に当たりそうになってる!」
「おっと、それは悪いことを」
命令が変わったのか私を援護するような攻撃になっている。
陸上機甲部隊も到着したらしく時折下からの砲撃が来る。
拘束弾の拘束が中々ありがたい。
「【全開放】!」
2発の斬撃を飛ばして胸を十字に切断する。
そして十字の中心を狙うようにストラの狙撃部隊が爆発球を発射する。
【グルォォォ!!!】
全身の根を伸ばして私やマナを狙って攻撃をしてくるが、そこに的確にストラの軍団が火炎弾を発射してその侵略を止める。
「凄い判断だな、ストラも」
とりあえず頭と中央には弱点が無いことが分かった。
――本当にこいつの弱点はどこにある?
「もしかして全部を燃やすこととか?」
でも流石にそれは少し難しすぎる気がする。
「1…… 2…… 3…… !」
私を中心としたエネルギーのドームを作り出して巨人の表面を焼いていく。
「貫通弾よーい! 放て!」
巨人がドームで焼かれている所に機甲部隊が何百発もの貫通弾で巨人を打つ。
しらみつぶしに撃つことでストラ達も弱点を探してるんだ。
「――みーつけた」
貫通弾の内、ある特定の角度で撃った時にだけ再生が遅い場所がある。
だけど時折その場所も再生が早くなることがある。
まさかの移動型、それなら範囲技で攻め続けるのみ。
「吹き飛べ」
2本に分裂した剣を1本に戻して上に構える。
勢いよく下に振り下ろし、巨人を縦に真っ二つにする。
頭から胴体まですべて消し飛んでいく。
「――やーっと終わった……」
まだ再生している。
――逃したか。
「ミロク! そこどいて!」
「!」
即座にワープし上を見ると一つの大きな爆弾が降ってきている。
徐々に分裂し小さい爆弾になっている。
「あんなものまで用意していたか…… 1本取られたね」
巨人の残った部分に小さい爆弾が降り注ぎ大爆発を起こしている。
私が切り崩した部分が大きいのもあいまり、再生の前に爆弾によって吹き飛ばしていく。
「ミーロク。 そろそろ降りてきなよ」
「うん。 少し感情的になっちゃった」
最後に1つ大きな爆弾が降り、その巨人は黒く枯れ、爆散していった。
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「よっし! よーし! ラスアタもらい!」
ミロクの悪い点は相手を舐めてかかること。
慎重ともいえるがアイツの強さを考えるとそれは慎重とは言えない。
「素晴らしい采配です、ストラ様」
「――もういいや。 【軍団】の被害は?」
「陸上機甲部隊の被害が甚大、空と狙撃部隊は物資の被害が……」
「まぁ次の攻略には復帰できるか。 ありがとう、モルドー」
「――」
どっか行っちまった。
まぁいいか。
「さーて、ほかの場所は大丈夫かね」
忘れそうだがここは星の一角、ほかの場所はどうなってることやら。
「それともう一つ報告が」
「うわ! まとめて話せよ!」
「申し訳ありません。 急用でして」
「――聞こうか」
「今までは普通に壊れていた機械兵が壊れるときに黒い何かを放出して爆発するように変更されています」
「――それだけか?」
正直急を要するとは思えないんだが。
「はい、ですが全ての機械兵が一斉に変化するというのは異常事態だと思い」
「わかった。 頭の隅に置いておく」
何もないとは思うがなぁ。




