9ー ボス、ジリ貧=ぶっぱ
扉の先は小さめの体育館くらいの部屋が広がっていました。
そしてその部屋の中央には、石ころが群れて大柄な人型をなし、胸に赤いオーブを付けたエネミーが陣取っていました。
あいつがボスですね。 作戦通り短期決戦で仕留めてしまいましょう。
ボスの胸の、コアとおぼしき赤いオーブが強く光り輝く前にショットガンをぶっ放します。
「相手も一筋縄じゃ行きませんか」
敵のゴーレムは攻撃が当たる寸前に石の形を変形させ、コアを防御します。
そして怒らせたのか、なかなかのスピードで腕を伸ばしこちらに突っ込んできました。
とりあえずショットガンで追撃しますが腕の一部を破壊しただけにとどまりました。
「おっと」
腕にもう数発打ち込み勢いが落ちたころに体をひねって回避し、コアに数発打ち込みます。
ですが前と同じく石壁で防がれてしまいました。
うーん、じり貧ですね。
ショットガンではあの石の壁を撃ち抜ける攻撃スピードを確保できません。
普通は誰かが前衛で攻撃を受けながらスナイパーライフルやアサルトライフルでコアを狙撃するのが攻略なんでしょうが、あいにく私は今一人です。
それに単発の狙撃は性に合いませんし。
ミロクがいれば前衛を任せられるんですがね…… いや、ミロクに任せたら石壁ごとコアをぶった切りそうです。
―――石壁ごと。
「―――ああ、そうですか」
すべてまとめて吹き飛ばしてしまえばいいじゃないですか。
敵の攻撃を回避し【アース】で入手した素材で一番の火力を瞬間的に叩き込めるものを作ります。
なんというかデジャヴを感じますがまあいいでしょう。
敵の攻撃に応戦しつつ、作ったものはガトリングショットガン。
あとそれの弾を大量に、ですね。
この武器は散弾銃の弾をガトリング並みの速度でぶっ放すという頭の悪い武器です。
因みにこれ作ったせいでさっきまでの素材がほとんど吹っ飛びましたがまた採りましょうか。
早速このガトリングショットガンを実体化させて応戦と行きま……
「おっも」
持てないほどではないですが亀みたいにしか動けません。 これでは攻撃を避けれませんね。
「いえ、避けるな、迎え撃てという暗示ですか!」
私はゴーレムに近づいてガトリングを実体化し腰に構え、ゴーレム相手にトリガーを引きます。
その瞬間、ガトリングのバレル部分から雷のような轟音が鳴り響き、凄まじい反動と共に、多数の散弾をばらまき始めました。
近くにいるのでゴーレムも攻撃に腕を伸ばしてこちらを攻撃しますが伸ばした瞬間にガトリングの弾の雨に蹂躙され、腕が吹っ飛んでいきます。
相手のHPも見る見るうちに減っていき、半分に達し、ゴーレムの形が変わろうとしましたが、出てきた素材が弾丸の雨に打たれ、形状を変化させることができず、どんどんとHPが減っていき、HPがゼロになり、ただの石くれに戻っていきました。
「これ……止められません!」
敵を倒しましたが、反動が凄まじく、抑え込むのに精いっぱいです。
弾が壁や天井に穴をあけ、どんどん崩していきます。
しばらくして、私の前方を見るも無残に崩壊させた後、ガトリングがオーバーヒートしたのか、バレルを赤熱させ、発射が止まりました。
「はぁ……はぁ……なかなかにすさまじい武器ですねこれ……」
ゴーレムがいたはずの前面を見ると元の灰色だった岩の壁は軽石のように穴ぼこだらけです。
この武器は私のびびっと来るものとは結構近いですが妥協点ですね。
ロマンという意味では申し分ないですが、もう一声です。
以下余談
このゴーレムはは普通にやるのだったらセツナの言う通り前衛後衛でHPを削る方法です。
HPが半分になると第二形態になってトリッキーな攻撃をし、攻撃頻度も上がりますが、セツナは それを見ずに吹き飛ばしちゃいました。