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宙船の修理屋  作者: rakusu
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2.副業

ピーッ!


ごそり、と部屋の中でロボットが起動する、電源が自動的に入った彼は設定に従いゆっくりと動き出す、足についた三角キャタピラを回しながら扉を開ける。


隣の部屋に静かに入る、中にはいくつもの空間端末や小型の機械部品があり、それらがきっちりと整理された状態で置かれている、部屋の窓側には安物のベッドがあり一人の少年が眠っていた、ロボットは右のアームを伸ばし、カーテンを開ける、少年の顔に太陽の光が差し込む。


「・・・あー、朝か、おはようZ54」


そうして彼、生活補助ロボットZ54の日常ルーチンは創造主であるシュリク・アレフの目覚めから始まった。





「・・・・一件もなしか、儲からないなこの仕事は」


Z54が用意してくれた朝食、栄養バーとコーヒーをとりながらタブレットを見る、修理依頼は一件もなし、完全に赤字だ。

この星で修理屋を継いで3年、まるで儲かっておらず赤字まみれだ、幸い副業のおかげで借金はしていない、というか副業の方がもうかってしまっているくらいだ、修理屋とはいったい・・・


まあ仕方ないか、この星では安く、速くが一番好まれるから自分のように高い値段を出して長い時間をかけてきっちり、なんていう修理屋は少ない。

そういった修理はほとんど大企業の修理店の方に持っていかれるし、そちらの方が大人数で修理するため期間も短く済む、代金はこちらよりも高くつくが。


そうやってタブレットをいじっていると電話が入る、画面にはカルラン解体屋と写っていた。


「はい、こちら修理屋シュリク」

『よ、坊主、マダンガだ、いつもの仕事だ、今回は小型Mクラスの船を頼みたい。』

「わかりました、船はこちらに?」

『ああ、俺が持ってく、期限は一ヶ月だ、10時にはつくからガレージを開けておいてくれ』

「わかりました、お待ちしてます」


そう返事をして通話を切る、残っていた栄養バーを口に放り込み、コーヒーで流し込んだ後上着と端末を引っ掴んでガレージに向かう。


「Z54、副業Bルーチン起動、ガレージの準備をしてくれ」




銀河外縁部クルモン星団に属するスルトル星系と呼ばれる場所がある、銀河経済中央部から大きく離れたここは様々な宇宙種族による銀河外縁部の開拓拠点であり有望な鉱石採掘星系である。

豊富な鉱石資源が取れる惑星が多数あり、そのうちいくつかは小惑星のリングを形成している。


大きな特徴としては恒星を取り巻くようにして5番目の惑星と6番目の惑星の合間にある巨大なアステロイドベルトである、希少な鉱石が数多く算出し、また種類や数も豊富で様々な採掘企業がこのアステロイドベルトで採掘事業を執り行っている。


その中の一つにSRTL-A-5、通称スルトル5と呼ばれる惑星がある、スルトル星系内5番目の星、星系内で唯一()()()温暖な気候に恵まれた有人惑星である。


そんな惑星の地表ではいくつもの宇宙船が雑多に重ね置かれている一帯がある、カルラン解体屋とかかれたホログラム看板が空に浮かび、中では数百もの宇宙人達が作業をしていた。


その中の1人であるマダンガは一つしかない目を擦りながら持っていく宇宙船から荷物を運び出していた。

体はシワシワとした緑の皮膚に覆われ、三本指が目立つ濃い緑色の手足をしている彼はアンパースと呼ばれる種族だった。


「ようマダンガ、また坊主のところか?」

「ああ、明日からデカイ仕事があるし、この船をさっさと解体しないといけないからな」

「しかし坊主もよくやるよ、一人で解体するんだろ?」


同僚のアンパースがマダンガに話しかけつつ船を見る、目の前には小型Mクラスの宇宙船がある、装甲には巨大な穴が空き、あちこちが蜂の巣になっており船内もぐしゃぐしゃ、何より全長が小型とはいえ50m近くある。

通常なら複数人でかかって解体するものだが、今回は事情があった。


「社長もめんどくさい仕事とってきやがったよな、大型Lクラスとか解体するのにどんだけかかると思ってんだよ、そりゃ儲けも大きいけども」

「少なくとも3か月以上はいくだろうな、しかも期限付きで使えるところは再利用しろってさ、今やってる仕事は全部他の業者に丸投げしないとダメになったよ・・・・ほかの業者との折衝俺がやれってさ、どんだけ恨まれることやら、畜生仕事は増えても給料は増えないんだから最悪だよ、マダンガ変わってくれないか?」

「残念だが俺もこの船届けたら明日の準備だ、向こうの持ってくる船の図面の解析と必要な機材をかき集めて全部計算しなきゃな、まあ頑張れ、俺はもう行くよ」

「つめてぇなあおい、さっさと戻って来いよ、じゃあな」


同僚と別れ運搬船に乗り込む、貨物運搬用で縦に細長く中央のコックピットを中心に十字のように左右に大きく翼が伸びており縦の前後と左右の翼に巨大な丸いマグネット装置がくっついている

プラズマエンジンのスイッチを入れ両翼のブースターで垂直に上昇した後、そのままゆっくりと運ぶ小型船の上に行き船を降ろしていく、そのまま降ろしていけば左右前後のマグネットが起動し自動で小型船に引っ付く。


運搬船を引っ付けた小型船ごと浮上させると舵を動かし修理屋の方向に発進させた。

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