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俺の異世界生活は最初からどこか間違っている。  作者: 六海 真白
第一部 一章 異世界生活編
31/88

俺の3人目のパーティーメンバーはどこか間違っている。 2


 トウカをパーティーに加えた翌日。

 俺たちはクエストが張り出された掲示板の前に集合し、それぞれクエストを探している。


 「良い感じのがないな。やっぱ昼からだと他の冒険者に持ってかれてるか」

 「ですね。コモモドラゴン討伐クエストも見なくなりましたし」

 

 探してはいるのだが、手頃なクエストは一つも無い。


 「妾は天体魔法さえ使えれば何でもよいぞ」

 「お前が小さくなったら食費がアホみたいに増えるんだからな? 分かってんのか?」

 「…… くはは」

 「分かったらさっさとお前もクエスト探し手伝え」

 「はい」


 この野郎。サボりやがって。


 「そういえばトウカって剣術が使えるんだよな? 刀持ってるし」

 「当たり前だ。飾りで刀を持つ奴がいるか?」

 「そりゃそうだ。トウカの方は何かクエストあったか?」

 「これなんかどうだろう?」


 トウカが差しだしてきた紙を見る。


 * クエスト名 カタカタートルの討伐 *

 最近、村の近くにある湖でカタカタートルが出たんだ! ヤツは湖の魚を食い荒らし住処にしてやがる! そのせいで俺たちの生業である漁ができなくなっちまった! 頼む! 誰かヤツを討伐してくれ!


 ※ 報酬 1万サリーと魚


 「…… ふざけてんのか?」

 「ふ、ふざけてなどいない! 1万サリーとはいえお金と魚をくれるのだぞ! それにカタカタートル…… 一度切ってみたい。絶対固い系のやつだろう」

 「おい本音漏れてるぞ。にしてもカタカタートルってなんだよ」

 「ぷぷぷ! カケルはそんなことも知らないんですか?」

 「そういうアリアは知ってるのか?」

 「知りません」


 なんなんだこいつは。


 「妾も見た事は無いが話は聞いたことがある。なんでも食べる雑食性で鉱物のように固い亀らしい。あと獲物を見つけるとカタカタ笑うそうだ」

 「こわっ。なんだよその亀」


 絶対危ないモンスターじゃん。色んな意味で関わりたくねえわ。

 俺がカタカタートルの生態に引いているとミーナルアさんが近寄ってくるのが見えた。


 「カケルさんいいところに! 今新しくきたクエスト何ですけど、どうです?」

 「どんなやつですか?」

 「商人ギルドからの依頼なので報酬良いですよ?」

 「…… どんなやつですか?」

 「トビドリュウの討伐クエストです。聞いたことありませんか?」

 「ないですね。お前らは?」

 「「「……」」」


 でしょうね。 


 「…… トビドリュウとは地面の下に生息するモンスターのことです。迷惑系モンスターとして有名で、トビドリュウが潜っている真上を通ると、それを感知して飛び出し、対象に頭突きをするんです。うわーお!」

 「やっぱりふざけてますよね?」

 「…… そのトビドリュウが商人たちが使用する道に住処を作ってしまったらしく、流通が途絶えてるそうなんです。超小型とはいえ、一応ドラゴン系モンスターなので鱗は固く、飛び出したトビドリュウが馬車に当たりでもしたら木で造られた馬車は粉々に……。そこで冒険者の出番! というわけです!」

 「他の道使えばいいじゃないですか」

 「そうなんですけど……。なぜか他にあった道が大地ごと抉られてるみたいなんですよねー」

 「受けます」


 うちの子が悪いんですね。すいませんでした。心してお受けします。



 道、とは。先人が通った軌跡のことである。

 首を横に振って見ると緑が生い茂っているのだが、正面には肌色の大地が姿を現している。

 俺たちは商人ギルドからのクエストを受注し、街から歩いて一時間ほど離れた平野に来ていた。


 「さて、一体どれぐらいいるのか探ってみますか」

 「そんなことができるのか?」

 「そういえばトウカは知らなかったな。俺の加護は『魂の加護』、んでスキルで『ソウルサーチ』ってのがあるんだよ。このスキルを使えば周囲にいるモンスターの魂が分かるってことだ。尊敬してくれていいぜ」

 「便利なやつだ」


 失礼だぞ。


 ―― 『魂捜索』


 俺はこのスキルを使ったことを激しく後悔した。


 「うぇっ、きもちわる」

 「大丈夫ですか? どうしたんですか?」


 アリアが俺の背中をさすってくれた。たまに優しいよなお前。いつもは生意気なクソガキなのに。

 俺が感知した魂の数、約50。紫色の魂が道一杯に存在していた。ある種のトラウマになりそうな光景だった。


 「めちゃめちゃいる」

 「どれぐらいいたんですか?」

 「俺が感知できる範囲内だけでも大体50匹前後。正直ステラの魔法でぶっ飛ばした方が早い気がする」

 「妾は今回戦力にならんからな。お姉さんたちに怒られる」


 そんな怒られるの嫌なの?


 「つまり、私の出番、というわけだな」

 「そういうことだ。頼んだぞ」

 「頼まれるのはいいが、どうやって討伐する? 地面に潜ったままだと私も切れないぞ」

 「あのモンスターはあいつらの真上を通った事を感知して飛び出すんだろ? なら話は簡単だ。あいつらが飛び出すよりも早くその上を通過してやればいい」

 「何当たり前の事をキメ顔で言ってるんですか?」

 「……」


 こいつをあの大群の中に放り込んでやりたい。


 「とりあえず、アリアとステラは下がってろ。ここは俺の出番だ。コモモドラゴンに追いかけられて鍛えた精神力、見せてやる」


 俺は道端に落ちていた小石を拾い、群れから少し離れたところにいる魂の位置に投げた。

 ポンッっと太鼓を叩いた時のような音が鳴り、


 「うぉっ!? 意外と速えな」


 思ってたよりも勢いよく飛び出してきたトビドリュウ。茶色の体躯に頭には黒みを帯びたお椀みたいなモノが付いている。手には長く伸びた黒い爪、鼻は発達しており長く目は小さすぎて確認できない。モグラみたいだ。

 ちなみにトビドリュウの爪はポーション作りに利用できるため売れるらしい。

 俺はアリアとステラを少し離れた場所に行くように指示し、トウカを連れて大群が埋まっている数歩前まで移動した。

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