表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

第25話 魔法使いと幻術使い ③

 睡蓮沼のほとりに二人の少女がいる。


 一人は魔王の娘。

 もう一人は魔王の娘曰く、幻術使いと呼ばれる少女だ。


 「それでね、教会のお庭で貴女を見かけたことがあるの!」


 「…………。」


 未だ一言も発さない少女に魔王の娘はめげることなく話しかけ続ける。


 「でもちょっとおかしいな〜?なんでかな〜?って思って。でね、もしかしたらあの女の子は幻影なのかも……って皆で考えたんだ。幻術使いちゃん、教会でちょっとした有名人なんだよ!あの幻影術を使ってる子は一体誰なんだろう?って!」


 それまで無表情だった少女は “幻影術” という言葉を聞いた瞬間、ビクッと体を動かした。

 そして何かを発しようと口を開きかけたが、少女の口からは言葉が出てこない。

 上手く伝えることができないのか、彼女の顔には困惑の表情が浮かんでいる。


 「ねえ、貴女が教会のお庭にいた幻術使いちゃんなんだよね?どうして教会にいたの?……今の貴女の姿も幻影なの?」


 「…………は……」


 それまで黙っていた少女はやっと声を出した。

 その声は小さすぎたが、魔王の娘は気にせず「うん」と相槌を打った。


 「……わたしは、幻術使い」


 魔王の娘の言う通り、少女は幻術使いだった。

 魔王の娘は「やっぱり〜!」と喜んでいる。


 「……どうして、幻影術だとわかった?」


 幻術使いは少し動揺しているようだ。


 「えーっと、私が魔王の娘だから何でもわかるんだよ!」


 魔王の娘は今まで何度も言ってきたであろう台詞を当然のように発した。


 「わたしの幻影術は完璧なはず……それなのにどうして……」


 「だ、だから!私が魔王の娘だから……」


 「私の幻影術は今まで誰にも見破られたことがなかった……のに」


 幻術使いは再びその右手を伸ばした。


 「えっ??ま、また!?」


 空間が歪む。

 見えていたものが消え、見えていなかったものが現れる。


 地面は変形し雪崩のように魔王の娘の足元をさらっていく。

 魔王の娘は白い杖を握り締め、力を解放しようとした。


 「……っ!?」


 一瞬、幻影の中に寂しそうに微笑む子どもの姿が見えた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ