3.大惨敗デビュー
なろうで書くのなら、なろうで受けるように書かなければ人気は出ない。
それがよく分かったのが、デビュー作『亡国のイレイザー』で得た経験だった。
この作品は、中学生の時に残したプロットが元になっている。
「第二次世界大戦で占領、分割されてほとんどがスラム街と化した東京で、ロボット兵器の一部にされたヒロインと出会ったパイロットの青年が戦う」みたいな内容だった。
行ける、と思った。
この作品なら間違いなく人気が出ると思っていた。……これ、フラグです。
まあ、それはおいておいて。
一番問題なのは更新が停止してしまう事だ。つまり、エタること。
どんなに面白い作品でも完結しなければ意味がない。
「未完の傑作よりも完結した駄作」とはよく言ったものである。
だからまず、最後まで書き上げる事にした。
設定も緻密に練り、中身も矛盾が出ないように何度も修正を重ねる。
そうして、『亡国のイレイザー』は書き上がった。
あとは投稿するだけ、という段階になってある問題が発覚する。
この作品は6話構成、約5万文字で構成されていた。
投稿の経験がある方ならもうお気づきだろう。
5万文字というのはだいたい、文庫本にして半分程度の文量だ。全体としてはむしろ少ない方だと思う。
しかし、6話しかないとなれば事情は変わってくる。
つまり、一話当たりの文量が多すぎるのである。
第一話で一万文字を越えている作品を見てあなたはどう思うだろうか?
「うおっ……」ってなると思う。
なろうはその性質上、パソコンやスマートフォンで読む事が多い。そうなると、一話当たりの分量が多すぎると単純に読みづらいのである。
だいたい、多くの作品では一話当たり2000文字から4000文字が基本ではないだろうか。
さて、それに気付いた私は一話一話を分割して投稿することにした。
だが、問題はその方法だと構成が破綻する。それでも、あまりに多すぎる文字数をカバーするためにそうせざるを得なかった。
基本的に、作品の最初の話というのは非常に重要だ。
その話だけで読者を掴んで引きずり込む必要がある。それは、何らかの事件であったり、魅力的な世界観であったり、とにかくそう言うものだ。
商業誌の漫画や、アニメの一話を想像して欲しい。あんな感じである。
だが、無理な分割で構成が破綻した事でそれが消滅した。それがまず第一の問題点だった。
それでも折角書いた以上投稿を続ける。
ジャンルはSF、あらすじも、キーワードもしっかり設定して毎日投稿を続ける。
投稿直前は「行けるやん! これ日間一位も夢じゃないわ書籍化アニメ化だわあ」と思っていた。
まあ、結果からお伝えしよう。
ブクマ4、評価者2、総合評価28ポイント、感想ゼロ。
初回の投稿結果ではない。
25部分に分割連載された最終話時点での結果である。
見ての通り、見事に大惨敗という結果になったのだった。