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花の妖精と腹黒王太子  作者: 水無月 撫子
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お茶会 サフィー目線




 ……ここは、王宮の一角、美しい花たちが咲き乱れる庭園です。



 今日は貴族の中の貴族と呼ばれる三柱貴族である三公爵家の公爵夫人と、王妃様そして、王太子妃である私のお茶会です。



「サファイア様、お久しぶりでございます」


 おしとやかに私に声をかけたのはロードゼリア公爵夫人であるカレディオーラ公爵夫人、愛称はカレン様です。



 私の実家は三公爵家の中のユリニスト公爵家。

 三公爵家は皆さん仲がよく、幼い頃から私もずいぶんと可愛がっていただきました。


「お久しぶりでございます、ロードゼリア公爵夫人。このお茶会はごく内輪のものです。よろしければいつものようにお話しください」


「わかりました。ではお言葉に甘えて。サフィーちゃん、ごきげんよう。最近は少し忙しそうね」


「ごきげんよう、カレン様。はい、最近は少し忙しくしておりました………」


 そう、忙しかった……。

 それはもう、目が回るほどに忙しかったのだ

 

「それでね、サフィーが落ち込んでいて……あなたたちをよんだの」


 と、王妃様のステリアーノ様。

 ちなみに愛称はステラ様です。


「「サフィーちゃんが落ち込む!?」」


 と、私の母であるユリニスト公爵夫人と王妃様以外のお二方がおどろかれる。


「はぁ………まったく。どうせ、サフィーは研究ができなかったから落ち込んでいたのでしょう?」


 と、お母様。

 そ、そのとおりです...。さすがは私の母ですね。


 娘のことは何でも知っているのでしょう。

 完全に呆れモードで、お茶を啜っています。


「「あぁ...。なるほど....」」


 そんなこと考えている間に最初は驚いていらっしゃったお二方も納得のご様子。


 なんでしょう、納得できません!ムキーーっ!!


「あぁ、そう言えばサフィーちゃん。王太子殿下のお噂は聞いてる?」


 首をかしげながら聞いてくるアイリオール公爵夫人、フレア様。


「……噂ですか?」


「えぇ。皆さんはご存じ?」


「「「もちろん。あのバカ女のお話でしょう?」」」


 と、私以外はご存じのよう……。一体何のことだろう?


「あの、一体....」

「あのね、サフィーちゃん。フロースト子爵のご令嬢を知っている?」

「え?もちろん知っていますが...実際にお会いしたことはありませんねぇ」

「そうなのね。フロースト子爵令嬢はお名前をサルビエナ嬢といってね、デビューしてからというもの、男性の噂がたえない方でねぇ」

「それにあの方デビューしたと言ってもデビューしたのは16歳の時よ?」

「えぇぇ!!いや、あのぅ……今はおいくつなんですの?」


 お、驚きました……。

 だってこのアクアリスト王国は、貴族の令嬢ならばほとんどが14歳の時にはデビューをすませています。

 それが16歳の時にだなんて……。


「驚くのも無理ないわ。彼女のデビューが適齢期を過ぎたのは表向き、病弱であったからとなっているわ……。そうねぇ、確か今は18歳のはずよ。けれど、私達公爵夫人をなめないでほしいわねぇ。信頼できる筋から、彼女はマナーがあまりにもひどかったから、デビューを伸ばしたと聞き出すことができたわ!!」

「マナー……ですか……?」


 マナー。

 それは貴族である人間にとってもっとも大切なものだ。

 

 私はマナーと聞くと必ず思い出すことがある。


 あれは、まだ私が4歳だった頃、私の教育係であった先生が、どこからどう見ても美しい座り方なのに、出来ていない、美しくない……と言い私に何度もやり直しをさせた。


 いくら泣いても終わることはなく、まる一日座る練習だけだったときもあった。

 まぁ、今ではそのお陰でどんなときでも美しく座ることができるんだけどね!


 ……あの教育係には感謝する。ひどく厳しかったけども……うん。




「私のお茶会にもいらっしゃったのだけれど、未だにマナーを理解してないわね……」


 と、遠い目をしながら王妃様が呟いた...。


「まさかっ!!ステラ様にも危害が!?」


 フレア様は真っ青な顔でくいぎみに身をのりだした。


 王妃であるステラ様と三公爵夫人は皆さんご親友なのだ……愛称で呼び会うレベルで。



「まぁ、危害……というわけではないのだけれども、この間開いたお茶会で、サルビエナ嬢はドレスに持っていた飲み物をこぼしたの。周りから見ていた私達は、彼女がこぼしたのを見ていたから侍女を呼ぼうとしたのだけれど……驚くことに、彼女は近くにいた伯爵令嬢が、自分に飲み物をかけてきたのだと言い始めたの。

 それで、もちろん伯爵令嬢は激怒。その場はなんとか私が出て事をおさめたけれど。……まさか、人に擦り付けるなんて思いもしなかったわ」


 びっくり、という言葉とともに若干の疲れが顔に滲んでいた。


「そう。あの方少しおかしいのです!!そしてついに一番やってはいけないことをしたのです……」


「一番、やってはいけないこと?」


「えぇ。王太子様に手を出すという一番やってはいけないことを……」


 はい?今なんと?

 王太子様に手を、出すと!?

 

 えっ?ちょっと待って?

 王太子ってどちらの国の?


 え?まさか、うちのじゃないですよね??え?


「ど、どういうことですか……」




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