隣国 サフィー目線
皆様、ごきげんよう。
アクアリスト王国王太子妃のサファイア・ブロッサム・アクアリストでございます。
ただいま、私は国王様、王妃様、王太子と一緒にいます。
ただそこにいつもの和やかさなどはなく緊張しはりつめた空気が漂っております。
「父上、その隣国は……」
「ああ、ブルーファルケ帝国だ。」
時は数分前に遡ります。
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「あぁ、二人ともよく来てくれた。そこに座りなさい。」
笑顔の国王様からどこか緊張した様子が伝わって来るのは気のせいでしょうか。
つい先程、執務室にいたところを国王陛下がお呼びです。と言われ、王太子である夫のエディーと共に国王様の執務室に訪れました。
「エディー、それにサフィー。実は隣国より客人が来ることになった…。」
国王様のその言葉に暫しの沈黙が流れ、冒頭に戻ります……。
「ブルーファルケ帝国ですか……。」
私のその呟きに国王様と王妃様、それにエディーまでもが顔を曇らせます。というか、そういう自分の顔も暗いでしょう。
アクアリスト王国の隣国のひとつであるブルーファルケ帝国。
昔からアクアリストになぜか敵対心を燃やし一方的に戦争を仕掛けてくる厄介な国。そんなこんなで毎年のようにアクアリストに負け敗戦国としてそれなりの罰を受けだんだんと国土面積が小さくなっているのです……。
国民の気性としてはよくいって活発、悪くいって野蛮というところでしょうか…。
青を国の国色とするブルーファルケ帝国。
王族の特徴としては碧目だということです。
同系色のアクアリスト王家のアクアマリンの瞳。
区別はその顔立ちと瞳の色の濃さだと言われています。
これは国民の意見ですが、アクアリスト王家の者の方が顔立ちが整っており、さらに瞳は薄い澄みきった水色だと言います。
確かに国王様とエディーの瞳は薄い澄みきった水色です。
私は同じく隣国のグリュースティード王国元王女の祖母の血が濃く出てしまい、ペリドットの瞳をしています。
まぁ、それは置いといて……。
とにかく!ブルーファルケ帝国の人間に対しては気が抜けないのです。
イコールそれは確実に疲れること。
いつ、戦争をおこされるかわからない中どう笑顔で歓迎しろと言うのだろう全く!
それがわかっているからこその国王様や王妃様、エディーの顔でしょう。
「それは…決定事項ですか。」
エディーがそう問うも……
「ああ」
それはそれは悔しげに言われる国王様。
「訪問されるのはブルーファルケの王太子だそうだ。」
「え、じゃあ……」
「ああ。頼んだ、エディー。」
「………」
心底疲れた顔の国王様と心底嫌そうなエディー。
「一応は貴賓だ。歓迎パーティーを開くことになるこころして望むように。」
そういわれあぁやだなぁと思いつつもエディーに比べればましか、と思い気をとりなおしました。
お客様が来るまでエディーが心底渋っていたのは気のせいにすることにしたのはここだけの話です。




