剣を交えて 侯爵目線
私はタルサシス・ワストロフ侯爵、軍務将軍を勤めている。
ただいま、手合わせをしているのは我らが花の妖精、サファイア・ブロッサム・アクアリスト殿下だ。
サファイア妃殿下は華麗な容姿とは裏腹にお強くあらせられる。
現役の私だが妃殿下には今まで一度たりとも勝てていない。
今回もそうだった。
結果は私の敗北。
試しにうちの部下たちと相手をしてみては?と聞いてはみたものの答えはやはり相手をしてもらえないというものだった。
理由は火を見るより明らかだ。半分は彼女が誰の妃かということ。そしてもう半分は彼女が我らの憧れであり癒しだからだ。
彼女のために軍人として働いているものも多い。
サファイア殿下。実家は代々宰相を輩出してきた由緒正しい筆頭公爵家。そんな公爵家の中でもひときは優秀で美しく家族から溺愛されて育った妖精姫。高位貴族ながらも平民にも対等に接する彼女は家臣や民などの国民にとどまらず他国のものたちにも慕われている。
私との試合が終わりやって来た(執務から逃亡してきたであろう)王太子殿下と手合わせを始められた妃殿下。
結果は引き分け。
本当にハイスペックな王太子夫妻を前にこの国の未来は明るいなと感じるわたしであった。