曇りのち晴れ?
エディーが腹黒くない!!
ヤバイヤバイ…
緑が広がり美しい景色を作り出しているこの庭は王族専用の憩いの場。
そこにいるのは私と浮気者…もとい、まぬけ王子。
「王太子殿下。」
「あぁ。」
「何をなさっているのです?」
「すまない。」
「あっさりしてますね…」
しばし、沈黙……
……
……
「えぇい!長いわ!!」
「サフィー落ち着け。」
「これが!落ち着いて、ら、れ、ま、す、か!!!」
「いや、ホントにゴメン!」
「軽!!」
「もとはといえばサフィーが他人行儀になったのが悪いんだよ!?」
「えぇ!!私のせい!?」
「そうだよ。きっとサフィーのせいだ!」
ガーーン、ガーーン
「プッ」
「何笑ってるんです!?」
「いや、悪い。サフィーのせいではないよ。ゴメン。」
「もういいです!」
「フロースト子爵令嬢とは本当に何もなかったんだ。
ただ、不安だったんだ。」
「??」
訳が分からない。不安って?
そう思っているとエディーは理解したようにクスリ、と笑った…
「サフィーが俺の婚約者になった時のこと覚えてる?」
「えぇ。覚えてますとも。あのときほど、父と兄の機嫌が悪かったときはありません。」
「あぁ。公爵もレイドもそうとう機嫌が悪く俺も父上も苦労した。」
と、苦笑ぎみに…
内心、じゃあ無理矢理、婚約すんなと思っているが……
「無理矢理でもサフィーを手に入れたかった…。サフィーは幼い頃から本当に美しい少女だった。それこそサフィーは知らないだろうけど、俺が縁談を持ちかける前も後もたくさんの縁談が公爵家に来ていたんだよ?」
突然にその事実を教えられ私の頭はパンパン。てか、私エディーから縁談がきたのって3歳くらいだよ?もしや、みんなロリコン!?いやいや、そうでないと信じたい……。てか、前はいいとして後もって!?王子と戦おうとでも思ったのかしら……。
「最終的に父上を使って王命で無理矢理、婚約にこぎつけたけどね。まぁそれは良いとしよう。」
おい!良くないよ!!??
心で叫びながら、言葉には出さない。なぜかって?コイツ(エディー)がめんどいから。
「ただ、婚約してからも気が気じゃなかったよ。だって多分俺はサフィーが婚約破棄なんていったら襲ってたかもだし…。」
「っ!!な!」
さすがの私も絶句する。というか、あの頃エディーに婚約破棄を言わなかった自分に感謝!!
「まぁ、そんなこんなありながら結婚までこぎつけて安心してたんだろうなぁ。ちょっと甘やかし過ぎてしまった……。」
「ん?何ですか?最後の方がよく……。」
「ん?何でもないよ?」
その笑みはどこかで覚えのある顔だ。でもどんなことだったかなぁ……。
「サフィー。」
「!はい。」
「今回のことはすまなかった。俺のつめが甘かった。」
「分かってます。心のどこかで分かってたんです。でも、……やっぱり裏切られたのかなって…怖くなって……」
言葉にすると分かる。本当は分かってた。そうじゃないって…だけど、だけどやっぱり人は誰かを裏切るからって…とめどなく溢れる涙が視界を曇らせる。
「悪かった」
そういって抱き締めてくれるエディーの暖かな体温で次第に心は軽くなる。
「サフィー」
「はい。」
「サフィー」
「?王太子殿下?」
「サフィー」
愛称で呼ばれてる。もしかして…
「エ、エディー?」
「あぁ。サフィー。 愛してる。」
たった一言。されど一言。私には魔法のような言葉。
それだけで十分だった。
「私もです。愛しています。エディー。」