春の夜会(3) サフィー目線
「王太子殿下。私は側室は認める主義ですわよ。」
これは彼を切り離す言葉。別に怒っているからとかじゃありませんから!
「おい。待て。いつそんな話になった!?」
何いってんの?この人。
「あら、サルビエナ嬢と殿下が愛しあっている、というお話ではありませんこと?」
「いや、違うから!!」
えー。もう面倒くさいなーー。
「では、彼女は何を言っているんです?」
「いや、だからそれは……。」
会場は一気に冷めた視線で王太子を見る。
そんな中、空気をよまない人間が約一名…。
「エディー様!私を愛していらっしゃることこの場でお話になって!!」
「 !? いつ私があなたを愛していると言った!?それに私はあなたに愛称で呼んでいいと言った覚えはない!!」
「どうして!?エディー様がおっしゃったじゃない!!」
ーーーーー数日前ーーーー
「はぁぁぁ。」
「何ですか!殿下!さっきからため息ばかりうるさいですよ!!」
側近兼護衛のサフィーの兄、レイドことレイディオールが怒鳴ってきた。
「聞いてくれよレイド。サフィーがぁーー」
「煩わしいな…ほんと…サフィーのやつ何してくれてんの!?」
「何か怒ってるんだよー」
「はぁ!?サフィー、怒らすなんてお前なんてことしてくれてんの!?」
こいつはたまに妹が好きすぎて気持ち悪い…。まぁ確かにサフィーは可愛いから仕方ないけど…
「ありがとう!エディー!これでサフィーを連れて帰れるよ!!」
「はぁ!?ちょっと待て!!なんでサフィーを連れて帰るんだよ!?やめろよ!頼むから!」
「え?やだ!だってお前がサフィーを辛い目に会わせるんなら連れ帰るっていってあったし。」
「申し訳ございません。お兄様。お願いですから、サフィーを連れて帰らないでください!」
ひどいよ!レイド。俺からサフィーを取り上げようなんて!
そんなことを考えているとき執務室のドアが開かれた。
うわ!ヤバイ!!
気づいたときにはもう遅い。
「ごきげんよう!エレディオール様!!」
「ご、ごきげんよう。フロースト子爵令嬢。」
くそっ!レイドのやつ素早く逃げやがって!
そう、この人は度々俺の前に現れる(執務中に!!)しつこい女だ…。
最近、サフィーに避けられあまり寝れていなかった俺はこの日、彼女の前で寝てしまった…。
「ふふふ。エレディオール様!あなたは私のもの!」
起きている時に聞いたら普通にキモい声は欲求不満気味の俺にはサフィーの声に聞こえた。
「やめろ……エディーと呼んでくれ……。」
ーーーーーーーーーーー
『『『はぁぁぁぁ』』』
え?ばかなのこの人。私の声と彼女の甘ったるい声を間違うなんて…最悪…
「ごめん!!サフィー!本当にごめん!」
「王太子殿下!謝られても当分許せない案件です…」
「まぁ。そうだよね…」
「はぁ。全くバカ息子が!いつもしっかりしてるのがサフィーのこととなると何故そんなにバカになるのか全く分からん。とにかくこの件は令嬢の誤解が生んだ件でいいんだな?」
「はい、そうなりますね。」
国王様の問いに答えたのは勿論私です。
「衛兵。フロースト子爵令嬢を別室へ!!」
衛兵は素早く彼女を捕らえ別室へと連れて行きました。
「皆。楽しい宴の席を折ってしまいすまなかった。それでは夜会を再開してくれ!」
国王様のその声を皮切りに皆がダンスを始めました。
「サフィー。エディーを連れて少し話をしておいで?」
「分かりました。国王陛下。」
そういい、私は王太子を連れて王族専用の庭へ向かったのでした……。