春の夜会 サフィー目線
「やぁ。ごきげんよう。サフィー。機嫌はなおったかな?」
そういって、私の私室へ入ってきたのは浮気男でした。
今日の彼は、美しいプラチナブロンドの髪をきれいに整え、その上にある王太子の冠の輝きにも負けぬキラキラとした王子スマイルと理想の王子様な雰囲気を放っておられます。
白を貴重とした衣装と王太子のマントを身に付けなんとも重そうな格好です。ただ、彼が着ると様になるのはやはり生まれ育ちのちがいでしょうか?
「ごきげんよう。王太子殿下。機嫌?とは一体なんのことでしょう?」
もちろん、わかってる。わかっていっているんだ。それだけ私は怒っている。
「あぁ。まだ怒ってたんだね?サフィーが何に怒っているのか俺にはわからないけど今日のサフィーは本当に妖精のようだ。」
こいつ、途中であからさまに話変えやがったよ。
もう、ずっと口が悪いのは気にしないでくださいまし!!
「まぁ。いいか……。きっとサフィーの怒りを解消してみせるよ。さぁ、夜会へ行こう?俺の可愛い妖精さん。」
「承知致しました。参りましょう」
うわぁ。吐き気がぁ。とか思っているけども!行かないといけないから!!ここは腹をくくる!
偉い!偉いよサフィー!もう、自画自賛だけど許して………。トホホ……。
王族が入場する扉は貴族たちの入る扉とは違う。
そして、エディーにエスコートされたどり着いた先の扉の前には国王様と王妃様がいらっしゃった。
「サフィー。今日もとても可愛いなぁ。」
「本当に可愛いわ!!妖精さん!私の妖精さん!!」
と、私を見て感嘆の息をはく国王様とはしゃぎだす王妃様。
「国王陛下、王妃殿下。ごきげんよう。まことに今日もお美しいお姿を拝見できること嬉しく思います。」
「堅苦しい挨拶はいいぞ。サフィー。君は私たちの可愛い娘なのだから。」
「そうだよ。サフィー。この人たち自分の息子に見向きもせず、話しかけたのは息子の嫁…。さらにはこの瞬間まで俺の存在すら忘れるくらいなんだから。」
「あら、エディー。あなた最近サフィーを怒らせた覚えはなくて?」
「何故、母上がそれを?」
「それはねぇサフィーが怒った瞬間に一緒にいたから!」
「はぁ??」
全く。なんと、みっともない声を出していらっしゃるんだか人の目がないといっても王族だよ?王族!
と、考えていると扉の向こう…ようするに会場から国王様から順に私たちの名前が呼ばれた…
この声を境に私たちは表情を王族のそれへと変え、会場へ入場した。
キャーーーーー。キャーーーーー。
そんな、ご令嬢方の黄色い悲鳴と共にパタリパタリとお倒れになる姿も見られる。
なに、いつものことだ。男性なんか鼻血たらしている。
王族の席は左から順に、私(王太子妃)、王太子、国王様、王妃様になっている。
「静粛に!」
宰相__私のお父様の声で会場がシン__。と静まり変える。そこに国王が一つ咳払いをし、
「ただいまより、春の夜会を始める!存分に楽しめ!」
その声を皮切りに楽隊による音楽が流れだし、国王様と王妃様の今宵のファーストダンスが踊られる。
そして次は私達、王太子夫婦のファーストダンスだ。まず、私達が踊らなければ貴族たちは踊りださない。
「サフィー。私と踊っていただけますか?」
国王様たちのダンスが終わりすぐに言ってきたのはエディーだ。
「もちろ____」
「お待ちなさい!!!!」
もちろん。と答えた……はずだった……。
私の声を遮ったのは甲高い女性の声。これにはさわがしかった会場も静まり変えっています。
そして
バンッ!!と音がして会場に入っていらっしゃったのは真っ白なドレスを着た紅い髪で紅い瞳のご令嬢でした_____。