デウスエクスマキナ、猛る。
「・・・・・・ここは、宇宙?」
目が覚めると、朱鷺人は自分が宇宙に居ることを確信した。
映像ではない、本物の地球ー。
「綺麗でしょう、この星」
朱鷺人、彼のギフトの脇には以前見たギフトがあった。そこからは天の声が聞こえた。
さらにおーいとこちらを呼ぶ天野の声がする。その方向にはもう一体のギフトが見えた。
「一体何が起こったんだ・・・」
「でうちゃんによって転送されたんだ」
「転送?まさか、特訓・・・ですか」
朱鷺人は鼻で笑った。
「いや、合ってるよ。でうちゃんが君をここで鍛えて、然る時に備えるって」
「然る時?」
「うん、それはー」
「君や天君の様に直接コンタクトを取れず、行動を開始する宛先が現れた時さ」
ギフトに搭乗しているせいで天野の表情は分からないが、その声色から、
正義感に囚われている感じがした。
「さぁ、まずはちゃんと動く練習だ。そこにある地球の方向を向いてごらん」
「今度はパンチしないでねぇ」
天が冗談を言ったが、天野がそれをなだめる。
朱鷺人はとにかく地球の方向へ向いた。
「ところで天野さん、何で僕達はギフトに乗っても話し合えるんですか」
「その原理は謎だが、ギフトに搭乗している宛先同士は会話が出来るが、
ギフトから宛先以外の人間と会話は出来ないんだ」
「へぇ・・・」
「質問ついでですけど、昨日、何故佐倉さんは町に出てきたんですか?」
「基本、宛先は午後11時以降の睡眠と転送以外で眠ると自分の居る場所に最も近く
広い場所にギフトとなって転送される。因みにその時は意識のみがギフトに送られる
みたいだね」
「昨日眠すぎて10時半に寝ちゃった」
照れくさそうに天は語ったが笑い話には出来ない事はこの場にいる全員が承知の事である。
そのため、すぐに天の口から謝罪の言葉が漏れる。
「ギフト、か・・・・・・」
(力の体現だな。この世界の終焉を見るのもそう先ではないな)
「えっと、ここが日本か。あそこらへんに、あった家」
ギフトの視認センサーには望遠機能があり、宇宙から自宅を望む程に
拡大出来る。
「すごいね天津君、もうそこまで動かせる様にー」
天はその時、朱鷺人の狂気に気づいた。出来れば彼の行動を阻止出来れば良かったが
その運命は神によって導かれたものである。
きっとどうやっても止められ無かった。
朱鷺人のギフトの腕部から針状の武器か伸び、朱鷺人の家へ発射された。
高速で射出されたニードルは軌道を変えずにそのまま天津邸に刺さった。
それと共に家中のガスが噴出し、爆発という二次災害も引き起こした。
「そんな・・・」
「朱鷺人君!一体何を・・・」
朱鷺人のギフトは彼らの方向へ体の向きを変え、呟いた。
「決めた。こいつの名前は"デウスエクスマキナ"。こいつがきっとこの世界を
終わらせてくれるよ」
「僕はもう仮面を被らなくて良い。この力があれば、媚びず、悩まず暮らせるさ」
「まぁ暮らす世界だってどうでもいい。全て壊すんだ」
「ハハハ、ハハハハッ!ハハハハハハハ!!」




