使い道
朱鷺人の混乱も収まり、リビングにて朱鷺人に"ギフト"の事についての説明を始めた。
「とりあえず、朱鷺人君、君の事を聞かせて欲しい」
紅茶を片手に持ち、天野と名乗る男性は質問し始めた。
「・・・・・・昨日、佐倉さんのロボット、ギフトを見て気絶してしまったんです。」
「その後、僕がギフトになっている、そんな夢を見たんです。そして、また意識が遠のいて・・・」
「今に至る、そんな所かな」
朱鷺人は小さく頷いた。
すると、天野はテレビの電源をつけた。
テレビでは丁度ニュース番組が放送されていた。
「昨晩N県の市内にて2体の巨大ロボットが暴れる騒ぎが起こりました。
翼の生えたロボットと、腕部の肥大したロボットが争っている様にも見えたという
風に言っている地元住民も多いそうで、これによる被害はビル一棟の倒壊、奇跡的に
犠牲者、負傷者はいない模様です」
「何だ、これは・・・・・・」
「天津君はさっきからギフトの件を夢って言ってるけど、本当の事」
「いやぁ、いきなり暴れた時は焦ったよ」
朱鷺人の手が震え始めた。
「ん、大丈夫かい?朱鷺人君。こんなのを見たら、やっぱり気分が悪いよね。すまない」
天野がテレビの電源を切る。
「あ・・・平気です」
(この力は確実に壊せる、世界を)
(こんな醜い星を僕が、消し去れる)
「・・・・・・」
震えながらも朱鷺人は不気味な笑みを浮かべた。
その心の野望は天に見透かされていると知らずに。
「おーい小僧、何をニタニタ笑っている」
「あれ、でうちゃん昼寝続けていたんじゃないのかい?」
「我輩を置いてきぼりにするな!それより、この小僧、怪しい」
「・・・・・・そうだよ、天津君、世界を壊せるなんて言わないで」
彼らの言い分に間違いは無かった。しかし、朱鷺人にだって為したい事がある。
初対面の人間の言う反論に食い下がる気は毛頭無かった。
「こんな醜い世界を変える為にギフトはあるんじゃないか?」
「はぁ?何を言っている、貴様」
「俺が翼のギフトの宛先だって知ったのはでうなんとか、お前の仕業か」
「そうだ、我輩が彼らに伝えたのだ。駒は多い方が良い!」
「仲間?何の仲間だ!空から敵でも降ってくんのか?」
「変な群れ意識の中に俺を巻き込むな!どうせ滅ぶ世界だ。俺がこの手で壊してもー」
喋っている途中で朱鷺人の体は倒れ、意識を失った。
「あちゃぁ、でうちゃん、まさか彼にギフトの練習をさせるつもりかい?」
「そうだ。あいつの根性叩き直してやれ」
「分かったよ。じゃ、後は頼むよ」
天野、天が横になると、でうちゃんと呼ばれる異形の者が尻尾をかざす。
すると、二人は眠ってしまった。