協力者
「で、ここが協力者の方の家・・・ですか」
「うん。天野さんっていう人だよ」
「厳密に言うと、このロボット云々に詳しいのは天野さんじゃなくって、
もう一人協力者がいるの」
(ん?佐倉さんはその後者の方の協力者の存在を何故隠していたんだ?)
「うーん、来て見れば分かるよ」
「読心って調子狂うな」
他愛無い話をしながらも、彼らの表情は固まっていた。
自分達に降り注いだ力の事を知る人物。
その存在は朱鷺人に希望と緊張をもたらした。
その家は普通の一軒家だった。しかし、
そこには何か異様なオーラが漂っている様にも感じられた。
(やはり、何か不気味だ・・・まるで世界をリセットしに来た
神様もしくはラスボスでも居そうな雰囲気だな)
「はははっ!天津君勘繰りすぎだよー」
「そんなにドキドキしなくて良いよ。天野さんはいい人だからさぁ」
「そう、だね」
そして天がドアノブをひねる。
ガチャリという重い音が響く。
その瞬間、天の力ではない力でドアが開かれた。
「いらっしゃい」
開かれたドアの先には猫背の中性的な顔立ちの男が
こちらを出迎えていた。
「外が騒がしいから降りてきたら君達の声が聞こえて来たからさ」
「お、天君、君の知り合いかぁ。ともかく上がりなよ」
お邪魔します、と小声で朱鷺人は呟く。
中に特に変わった仕掛けがある訳でも無く、
ただただ普通の家だった。しかし、やはり謎の気配を感じる。
「あの、天野さん、恐縮ですが、他に誰か、人が居るんですか?」
その存在に、確信は無かった。でも、感じる。
そして、それに対する答えは簡単だった。
「えーと、協力者がもう一人って、私言わなかったっけ?」
「いや、これは人の気配じゃない!やはりこの謎の力のと共に
ある怪物の存在?それだ!出てこい怪物!」
朱鷺人がけたたましく叫ぶと、リビングから奇妙な生物が出てきた。
毛むくじゃらで羽の生えた、
正に妖精と言うべきもの・・・・・・。
「うるさーい。我輩はお昼寝タイムだぞー」
「あぁぁぁ?」
朱鷺人の開いた口が塞がらない。
それもその筈だった。今まで何のモンスターが現れるかと思いきや
出てきたのは愛くるしい小動物の様な生物だったからだ。
「あら、でうちゃんおはよう!」
「おお、天か。で、その見慣れぬ輩は何者だ」
「誰なんだい、天君」
「彼は天津 朱鷺人君。私達と同じ、"宛先"です!」
「宛先っていうのはギフトを操作する人の事だよ」
「だから、心読まないで下さい!」




