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贈物 ギフト  作者: テンペスティア
2/11

ロボット

 「ただいま・・・」


 朱鷺人が帰宅して最初に聞くのは、男女の叫び声と、物の破壊音。

 両親が相も変わらず喧嘩をしている。


 「はぁ、家がそれなりに頑丈なのが唯一の救いか・・・・・・」


 朱鷺人が二階の自分の部屋に荷物を置くと、すぐに家から出ていった。


 「あんな所、居られるか」


 街へ繰り出すと、大通りにこじんまりとした定食屋がある。

 朱鷺人はそこへ駆け込んだ。


 ガラリと戸を開け、軽く会釈する。


 「おお、朱鷺人くん、いらっしゃい」


 「今日は何食べていく?安くしちゃうわよ」


 そこには、せっせと料理支度をしている夫婦が居た。

 彼らは朱鷺人を迎え入れると、品書きと、お冷やを出した。


 「ありがとうございます。叔父さん、叔母さん」


 「良いんだよ。どうせ家は空いてるし、今日もあいつら、喧嘩してたか?」


 「はい」


 「全く、あいつら、堪忍ならねぇなぁ」


 「私達もずっと言ってるのに喧嘩が絶えないなんてねぇ」


 親戚の夫婦の憤りを朱鷺人はなだめる。


 「良いんです。家の問題ですから・・・」


 「そう言ったってなぁ」


 「とか言ってる内に、お料理出来ちゃったわよ」


 朱鷺人の叔母が持ってきたのは、皿に大量に盛られた白飯だった。

 これは勿論サービスである。


 艶やかな白米と、沸き立つ湯気が、朱鷺人の胃袋を誘惑した。


 「じゃあ、頂きます!」


 そう言うと、朱鷺人は一気に飯を掻き込んだ。


 「っはー!」


 「美味しいです!」


 「まぁ地元取れた自慢の米だからな。遠慮せずじゃんじゃん食ってくれ」


 朱鷺人が飯を食べている所に、いつの間にやら頼んでいた品が来た。


 「はい、店自慢のエース、ジャンボかき揚げ蕎麦よ」


 「おお、来ましたね」


 ジャンボかき揚げ蕎麦とは、店で捏ねられた麺と、秘伝のタレで作られたつゆを使った

 シンプルかつ濃厚な味を醸し出す蕎麦に、直径15cmもあろうかという巨大なかき揚げで蓋を

 した特製の品である。


 「うん!もう小説のテーマが分からなくなる程美味しいです!」


 「そりゃぁ良かったな」


 そうこうしている内に時間は夜の10時半になっていた。


 「ご馳走さまでした」


 「おう、また来いよ」


 「何かあったらすぐに言ってね」


 (美味しかったな・・・あの場所なら僕もありのままで居られるのかも)


 (ん?つまり、あの姿が僕の素顔、ネイキッド?)


 朱鷺人が考え事をしていると、前方から人がぶつかって来た。


 「あぁ、すみませ・・・」


 「お前も早く逃げろ!じゃねぇと、あいつに殺されるぞ!」


 ぶつかって来た男性の指差す方向を見上げると、そこには、全長20mぐらいあるだろう

 巨大なロボットがこちらへ向かって来ていた。


 周りを見ると、大多数の人間がその場から離れようとして、混乱状態に陥っていた。


 「なんだ、ありゃ・・・・・・」


 巨大ロボットはこちらへの攻撃的意思は無いようだったが、歩くだけで充分街を

 破壊していた。


 朱鷺人がロボットを茫然として眺めていると思いがけない事が起こった。

 


 ロボットが朱鷺人に手を振ったのだった。

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