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怪獣はヒーローが嫌い!  作者: SAKAHAKU
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第二十話(怪獣はヒーローが大好き!)

これは後に聞いた話だが、俺がゾフを倒したことでブラザーズの洗脳は解除され社長達の戦闘も終わりを迎えたようだ。

ゾフの身柄は正義の心を取り戻した彼等によって確保された。

これでアイツは二度と悪事を企てることは出来ないだろう。

「光大君、話って何かな?」

ゾフの件が片付いた次の日。俺は社長をモンスターディフェンスの屋上に呼び出しある物を手渡した。

「カード、だよね。どうしたんだい、これ?」

「ゾフの野郎が戦闘中に落としたカードだ。奴は気付いて無かったみたいだけどな。一応拾っておいた。きっとあんたのだって思ったんだが違ったか?」

「え、ちょっと待って。これって……」

社長に手渡したのはカード怪獣二体が映った二枚のカード。

おそらく彼の持ち物だと感じて持ち帰った。

「嘘だろ……すぐには信じられないよ。殺された訳じゃなかったんだね」

「あんたのカード怪獣達で間違い無さそうだな」

「そうだよ。二人共僕の大切な仲間だ。もちろんスカイちゃんにとってもね。お礼を言わせて貰うよ。ありがとう。僕達の友達を救ってくれて」

「礼なら必要無い。ちょうど近くに落ちていたからな。言ったろ。一応拾っておいたって」

「君は照れ隠しが下手だね。僕がありがとうって言ってるんだから素直に喜びなよ。でも、本当に感謝してる。スカイちゃんが喜ぶ顔が目に浮かぶなぁ」

社長は屋上から図書館の方へ戻って、真っ先にスカイへ友達のカード怪獣二体の生存を知らせた。

嬉し涙を流すスカイを初めて見たな。

これでアイツも元の明るい性格に戻れるだろ。

「よ。ギガノ。今日は何を読んでるんだ?」

図書館の中で本を楽しそうに眺めているギガノの姿をみつけた。

開いている図鑑のような本は、また大好きな怪獣図鑑だろうか?

「あのね、ヒーロー図鑑を読んでたんだ」

「お前、ヒーローは嫌い何じゃなかったっけ」

「有明のおかげで好きになれたんだー。もう嫌いじゃないよ。だって有明も社長もシトも皆大好き何だもん!」

「えー。マジかよ。そこは一人に絞ってくれよ。お前が社長と月神のことも大好きなのは知ってるけどさ」

「ギガノの一番は有明だよ。それは言葉で表さなくても伝わってるって思ったんだけどな。だって二人は両想い何だもん。そうでしょ」

「ああ。そうだったな」

自分ではあまり憶えていなかったことだ。

俺は過去にダークヒーローに命を狙われていたギガノを救ったことがあるらしい。

社長は言った。

ギガノが初めてこのモンスターディフェンスに俺を連れてやって来たあの日、密かに現役時代のファイターマンがどんなヒーローだったのかを詳しく教えて欲しいとお願いされたと。

その話を聞いたギガノは確信したらしい。

ファイターグローブには見覚えがあった。

自分を助けてくれた名前を知らないヒーローの手掛かりは両手にはめていたグローブ型の武器ただ一つだけだったのだ。

元々この星にやって来た理由は、その時のお礼を伝える為とか、何とか。


「男路様お茶が入りました。お口に合うか分かりませんが、どうぞ」

「ああ。悪いね。有難く頂くよ。スカイちゃんはこういうことあまりしてくれなかったから帰って来てくれて助かるよ」

「むぅ。スカイもお茶を淹れようとしていたところ。男路、今の言い方は酷い」

「はは。ごめんよ、スカイちゃん。僕のちょっとしたお茶目な冗談さ。お茶だけにね。本気にして貰っちゃ困るね」

「セブン、私もお茶を頂きたいのだけれど」

「はは。お姫様。少々お待ちを」

社長は三体のカード怪獣を周りに侍らせてハーレム空間を楽しんでいるように見えた。

聞くところによれば一体はマーメイドでプリンセスの怪獣。もう一体のお茶を汲んでくれている怪獣はメイドさんの格好をさせているようだが、あれは社長の趣味だな。何の怪獣かは聞いていないがツインテールに結んだ髪がメイドカチューシャと似合っていてとても可愛らしい印象を受けた。

「何だよ、アイツ。お茶注いで貰ったり、注ぎに行ったり。忙しそうだな」

「社長嬉しそう。二人が帰って来たからかな」

「だろうな。幸せそうで何よりだ」

このモンスターディフェンスには二人の仲間が新しく加わったが、月神はブラザーズ達が正気を取り戻したことにより一旦ファイター星へと戻った。

悪事を働いたゾフがブラザーズを辞めて、その代わりとして新たに隊長として任命されたのがその月神シト(ファイタージャッチ)だ。彼は現在ブラザーズのトップに立ち悪い怪獣や宇宙人から地球を守る本来の任務に就いた。忙しいとは思うが、俺はアイツがブラザーズの隊長なら安心だ。モンスターディフェンスの仲間達と関わることで優しい心を取り戻したあの月神ならファイターゾフのようなダークヒーローになることは無い。

「ねぇ、有明」

「ん、どうした?」

「ギガノね、前からずっと伝えたかったことがあるんだ。聞いてくれる?」

ギガノは服の裾をくいくいっと軽く引っ張って俺の視線を自分の方へ向けさせた。

「俺はお前の頼み事なら何でも聞くぞ」

そう言ってやると、ギガノは恥ずかしそうに顔を紅潮させながら口を開いて話を始める。

「憶えてるか分からないかもだけど、ギガノは有明にずっと前にも助けて貰った時があるんだ。社長に聞いたの。ファイター星でグローブ使って戦うヒーローは一人しかいないって」

「そうだな。多分それは俺だ。ブラザーズの隊長だった頃の俺はとにかく正義感に溢れていて、ヒーローの癖に邪気の無い怪獣。星人。人間を殺すダークヒーローが嫌いだった。そんな奴等をベリアルがくれたファイターグローブでぶん殴って、何人も戦闘不能にした。今まで救って来た命は数え切れない程存在する。お前はきっとその中の一体だったんだろうな。悪い。はっきりと憶えていなくて」

事実を告げればきっとがっかりさせてしまうだろう。そう思っていたのだが、ギガノは違った。俺の予想とは反対に笑顔で喜んでくれた。

「大丈夫。平気だよ。有明は嘘を付かないで正直に話してくれた。だからギガノはね、それが一番嬉しいんだ。だって、憶えてないのに憶えてるって嘘付かれても全然嬉しくないもん」

「お前は優しいな」

「ううん。優しいのはギガノをダークヒーロー達から救ってくれた有明だよ。助けてくれてありがとうございます。あの時からギガノは貴方のことがずっと気になっていました。

怪獣少女の告白染みた台詞に少しの間見惚れてしまって声が出なくなった。

「有明は、ギガノのこと……好き?」

「……ああ。大好きだよ。何度も言わせるな」

その返答を耳にして、にっこりと嬉しそうに微笑む。

最初ギガノと出会った頃は、こんな展開になる何て思ったり考えたりはしなかった。

ヒーロー嫌いな怪獣少女に出会って俺の地球での毎日はがらりと変わった。職に就いていなかったニートを会社員に導いてくれたのも、一人という孤独感から解放してくれたのも、優しい気持ちを取り戻せたのも、絶対絶命のピンチから救ってくれたのも皆同じく彼女のおかげだ。

俺を頼ってくれるなら俺を心配してくれる優しいギガノの気持ちに全力で応えてあげたい。心からそう思った。























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