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「どうもこんばんは、私幽霊で御座います」~余命(?)一カ月の幽霊ライフ~  作者: 伝説の自宅警備員
一章~いざ、彼女を求めて~
8/15

「こんばんは、私......伝えます」

終わりの見えない幽霊ライフをお送り致します~

 どうもこんばんは、幽崎霊司で御座います。


 今日こそ私は、黒美様こと白川黒美さんにお近付きになってみせますと心に誓います。ぱちぱちぱちぱち~。



「あっ、これはこれは死神様、どうもこんばんは~。今日も何かと暑くて過ごしづらい日々が続いておりますが、どうぞ今日も宜しくお願い致しますね」



 私の言葉に無言で返す死神様。

 まぁそれは当然なんですがね。だって全てテレパシーで済ませてしまう超常能力をお持ちでいらっしゃるのですから。


 ここ最近、というよりも二日程なんですがね......、死神様の御様子がおかしいのですよねぇ......

 妙に冷たすぎるのです......。

 

 昨日なんて輪っかを引っこ抜かれそうになりましたからね......危うく死んじゃう(もう既に死んでいますけどね、おほほ)ところでしたよ。

 もしかして見放されてしまった......!?

 と、思っていたのですがね、どうやら私が今現在存在しているということは、まだ一応存在意義を許して頂いているという御様子。というよりも許す許さないって私......何かしたのでしょうか? ......全然わかりませんねぇ......

 しいて上げるとしたら、私が死神様の御抓りに大変興奮を感じている......ただそれだけのことなんですがね......そんなの理由になるわけがないのですが......



「っていたたたたー! 駄目、駄目ですよ死神様! 輪っかだけは私が消えてしまう恐れがありますので、どうか、どうか御抓りにしてもらえないでしょうか? お願いします。お願いします......」


 

 はぁ......やっと引っ張られるのを止めて頂きました。

 こうやって私の考えてることが筒抜けだと本当大変です。変なことを全く考えられないですからねぇ......っていっても、考えてしまうのが世の常......男の(さが)って~やつですよね、いや、ほんと。


 されど、私はこうやって御機嫌を伺うことで生存確率を上げていこうと思っています。

 ......まぁこれも死神様には筒抜けなんですがね。

 あぁあぁ、冷たい視線(何度も言いますが死神さんは仮面を付けていらっしゃるので表情はわかりませんけどね)が私を刺激する......



 あぁーーん!!






 さてさて、紳士である私は最近幽霊さんになってからどうやら崩壊を迎えているようですが、気持ちを切り替えていきましょう。

 ということで、私は今、行動出来る範囲で黒美様の一番近い場所まで来ております。

 と、言っても黒美様から百メートルくらい離れているようですが......


 コンコンコン......


 やはり、これ以上は例の如く見えない壁に阻まれて行けないのです......。

 幽霊なんですから突き抜けろって感じですよね、もうほんと全く。


 さて、私は考えました。

 どうやっても私はこれ以上近付くことが出来ません。

 私にも出来ないことだってあるのです。


 ......なんですか死神様、そのじとっとした目は......(何度でも言います。死神様は仮面をお付けになられておりますのでそのお顔を拝見することは不可能なのです!)

 ......まるで、逆に私に何か出来ることでもあるのかとでも言いたげですねぇ......


 いいでしょう。見せてやりましょう。

 私だって......その......なんですか? 例えば......えーっと......そうだっ! ......いやぁ......駄目だ......えぇっと............

 


 

 私は考えたのです!

 もし、私が近付けないのならば、黒美様から近付いて貰えばいいのではないかと。

 

 死神様......そんな目で見ないで下さい......(何度も言いますが......以下略)

 これはあれです。決して敵前逃亡では御座いません。列記とした作戦なのです。そう! これは作戦なのです!!

 そしてドヤ顔する私にじと目を向ける(何度も......以下略)死神様......なんて居心地のいい感覚なのでしょう......



 まぁそんなことは置いといて、これから私の行動で私もやれば出来るじゃないか! ってところを見せたいと思います。

 死神様、よーく見守ってて下さいよぉ~。



 しかし、どうやって黒美様に近付いてもらうのか......

 まず、黒美様が私から距離を置いているのは自明の理です......それは鈍感な私でも分かっております。

 それでも、そんなこと生前ではしょっちゅうでしたので全く私は気にしません。えぇ、気にも止めません。そうよ、気にも止めないんだからね、馬鹿やろう!


 それに、それ以上に彼女は諦めるには惜しい程の美しさ、凛々しさを持ち併せております。

 そんな相手をみすみす諦める? 

 馬鹿がする事ですね。

 私は天才なので、そんなお馬鹿な真似はいたしませんがね、おほほほほ。


 しかも、私には生前になかったものがあります。

 それは......このワイルドイケメンフェイスです。

 この顔で、甘い言葉を耳元で囁けば、相手が誰であれ落とせる自信が出てくるというものです。


 ですが、死神様に伺ったのですが、それは初日の日にだらしない表情と言うのも易し過ぎる程のおぞましく気持ち悪い表情を私は黒美様に向けてしまった御様子。

 多分、生前のアイドルを追っかけていた頃の私の本性が出てしまったのですね、全く......私としたことが。


 しかし、そうやって過去のことを振り返っていても、そこに未来はありません。黒美様との未来を考えるのならば、今をよーく見据えるのが大切だと思うのです。


 そこで導き出された答えは......



「白川黒美様ー! 私、幽崎霊司で御座いまーす! 是非、私と、お付き合い、お願いしまーーすっ!!」



 そう、肺に入りきれるだけの空気を吸い込み(幽霊なんで呼吸はありません、雰囲気です。そう、雰囲気なのです)百メートルの距離なんて何のその、大音量でありのままの愛の告白をする......


 これが私が出した答えであります。



 届くかな......



 届くといいな............


 ......


 ............


 『ティロリ~ン』

 

 『黒美様との心の距離が一メートル近付いた』



 そんなアナウンスが聞こえた......




 ......ような気がした、夏の暑い夜。



 私の幽霊生活の六日目は終わっていた。


 私の幽霊ライフ残り二十四日......

何も始まらない、それがこの作品なのです。

そうでしょう? 霊司くん?

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