「こんばんは、私......決意しました」
「......しくしくしく......ぐすんぐすん......」
......あぁ......涙が止まらないって......こうゆうことを言うんですね......
いやぁ......見栄を張りましたよ......
所詮......私なんて......どこにでもいるようなモブ男でしたよ......
それでもまだ......
一応は......見れた顔でしたよ......?
......それが、なんですか......? あの顔は......
あれじゃあまるで......
「T○KI○の長○くんみたいなワイルドイケメンじゃないですかーーー!?」
......えっ!? 何!? これってもしかして......何かのドッキリだったりするんですか!?
ほら、鏡に仕掛けでもあるんですか?
ってか、鏡に幽霊が映るってどうゆう技術ですか!?
説明お願いしまーす! 神様ーーー!?
そもそも私、死んで別人になってしまいましたが......よかったんでしょうか......?
私のアイデンティティはいったい......
死んだとたんにどこかへ行ってしまわれたのでしょうか......?
......ふむ。
まぁ......あれですね......
私......
なぁ~んて幸運なんでしょうか!?
まさか死んでモブ男とおさらばできるなんて!
素晴らしい! 素晴らしいですよ!!
これで私もイケメン街道まっしぐらですね!
人生生きてさえいれば、そんな幸運にも巡り会える!!
......いや~感激です。
......って......あれ?
......私......
......既に......
......死んでいる............?
◇
いや~、そういえば私、生前の記憶はしっかりとあるんですがね......どうもどうして死んでしまったのか......そこだけがぽっかりと穴が空いてしまったかのように、全く思い出せないんですよねぇ~、いや、ほんと。
なんですかねぇ~? なんなんですかねぇ~? 全く分かりませんね~?
まぁ、まだ30代そこらでしたから、寿命でポックリ......なんて事は有り得ないんですよねぇ~......
病気もしていなかったですし......いや、でも突然の心臓発作って事も考えられなくないですね~......
それか......事故ですか?
それとも......まさか......殺された!?
いやいや、まさかそんなことはない............ですよね?
はわわ......心配になっちゃいます......
......って......ん? まさか......? これって......もしかして......死因を知ったら私......成仏してしまうって事は......ないですよね?
嫌です! そんなの絶対に嫌です!
私にもやり残した事がたくさんあるんです!
例えば......綺麗な彼女を作るだとか......
綺麗なお嫁さんと幸せな生活を送るだとか......
綺麗な愛人にも恵まれるだとか............
......はっ! いけないいけない。つい下心が出ちゃいましたね。
......えっ? そんなこと言ってもしょうがない?
なぁ~んでですか!?
私だって夢の一つや二つ、持ちたいんですよ!
それくらい別にいいではないですか!?
......えっ? だってもう死んでるじゃないか......ですって......?
いやいや......全く......あなたって人は、冗談も休み休みにしてくれ......って......そうでした。
私......死んで幽霊さんやっていたんでしたね.....
生前の記憶がしっかり有り過ぎて、つい忘れてしまいますね......いや~困ったもんですねぇ~......、いや、ほんと。
......あらあらまぁまぁ、話が脱線してしまいましたね。
話を戻しますと、私にはしっかりとした未練があるんです!
哀しいかな......私は生前、彼女という存在が居なかったんです......一人も......そう一人もなんです!
なので......手を繋いだことも......キスしたことも......ましてやあ~んな事や......こ~んな事だって......当然未経験なんです......はい............。
所謂、童の貞って奴です......
......こんな事って......あっていいんですか!?
いや、絶対あっては駄目ですよね!?
男に生まれてきたのなら......
女の一人や二人。抱かないでどうするんですかぁー!?
......はっ! 失礼失礼。
紳士である私ですが、つい興奮して熱くなってしまいましたね......おほほほほ~。
......え~おほん。話を戻します。
なので、私はこの幽霊ライフ......
「このワイルドイケメンフェイスで見事、彼女を作ってみせることをここに宣言致します!!」
はい、パチパチパチパチー。
拍手喝采ありがとうございます。
......えっ? ......してないって? いやいや......そこは嘘だとわかっていても頷いて下さいよぉ~。親切じゃないですねぇ~。
はい。こうして私の彼女探しが始まるのでした。いや、ほんと。