「こんばんは、私......とうとう彼女に逢え......」
久々の投稿となりました。
新しいのと既存のを書き貯めているのと、普通にリアルが忙しいのとで中々進められず、申し訳ないです。
てくてくてく......
私はあなたに着いていく。
てくてくてく......
あなたは私に着いていく。
現在、私は肉美様の後ろを付き従って歩いております。といっても、所詮は私は幽霊。足はありませんので「てくてくてく......」なんて音は、一切出ていませんけどね。全て私の心の中で、そう......昔やりましたゲームのドラゴ○クエストの歩いているイメージですかね? ただの雰囲気作りをしているだけなのです。おほほほほ。
なぁ~んて事はさて置いて、私の後ろには小学生くらいの身長の悪魔......基、死神様が着いてきておられます。
「あぅ......。そうです......もっと......もっと! 強めでお願いします!」
そんな事を考えていると、死神様が後ろから私のオケツをびしんばしんといたぶってくれております。
あぁ......やはり死神様の愛の鞭は、本当に心地良いですねぇ~。
「あんたら......イチャイチャしてないでさっさと付いて来な」
「あっ......はい、すみません、肉美様。直ぐ行きます」
私が死神様から御褒美を頂いていると、肉美様が後ろを振り向き、呆れた表情で私達にそんな言葉を投げ掛けていました。
肉美様、申し訳御座いません。こうして死神様と戯れるのが、私の幽霊になってからの唯一の楽しみなのです。
「って......そういえば、死神様? 死神様のお名前はなんて言うのでしょう?」
......そうなんです。今更なのですが、いつも『死神様、死神様』と呼んでいましたが、肉美様にお名前があるという事は......死神様にも名前があるのではないのでしょうか?
......今まで、全然気付かなかったです。
「............」
......えっ? 知らない......ですって?
「それはまた......何ででしょう? 記憶喪失とかですか?」
何か事故にでも遭われて、記憶喪失に......なんてあるわけないですよね。おほほ、これは冗談が過ぎました。
「あぁ......この子はまだ死神ホヤホヤってやつで、前世の記憶とかないんじゃないかい?」
......はい? それは......どうゆうことでしょうか?
死神ホヤホヤって......死神様は死神成り立てって事ですかね......?
で......前世って事は、つまり......
「死神様も元々人間だった......って事なんでしょうか!?」
「あぁそうだよ。なんだい、知らなかったのかい?」
な、な、な、なんと!
そんな衝撃事実があったとは!?
つまり、死神様は元々人間で、お亡くなりになってから晴れて死神に任命されたという事......でしょうか?
いやはや、素晴らしい。さすが、死神様ですね。
私が尊敬の眼差しで後ろを振り返ると、そこには手を股に挟んでもじもじしている、そんな可愛らしい死神様が......はい、もちろん、いませんよね。
『なんだこら?』
......みたいな視線――もちろん、死神様は仮面を付けていますので、その表情は決して分かりません。そんな気配がびしびしとするだけです――を私に送っておりました。
しっ......失礼致しました、死神様。
ですので......その......私の大事なあそこを叩かないで下さい。
そんな事をされると私......イっちゃ......
「はいはい、そろそろ黒美のところだよ。心の準備はいいかい?」
呆れた表情から一転、にやっ、とした表情――何度も言いますが、肉美様もマスクを付けられているのでその表情は全く分かりません。何となく、何となくそんな気がするだけです――で、私にそう告げてきておりました。
とうとう......とうとう黒美様に再びお会いする事が出来るのですね。
何度この日を待ったことでしょう......
何度この日を待ちわびたことでしょうか......
「......はい、大丈夫です。肉美様......宜しく御願い致します」
そうして私は、黒美様にお会い出来るという期待と不安の綯い交ぜになった想いを胸に、肉美様に頭を下げておりました。
ドクンドクン......
あぁ......段々と鼓動が高鳴ります。
ドクンドクンドクンッ......
鼓動が激しさを増すのが分かります。
......といっても、幽霊なんで心臓なんてないので鼓動もないのですがね......おほほほほ~。
そうやって私が、内心でふざけて緊張を解していると、見慣れた人影......基、霊影が現れました。
あれは......あれこそは......
まさしく私が追い求めて止まないお方、白川黒美様ではないですか!?
あぁ......お会いしとう御座いました。
この日が来ることをどれだけ待ちわびたことでしょうか......
私は、歓喜のあまり涙で視界が曇る中、す~と近付く黒美様の下へ歩み寄ろうと一歩を踏み出した――あっ......ちなみに涙も足も当然雰囲気です。そこを突っ込むのは野暮というものなのです――ところ、肩にぽんと可愛らしいお手手が置かれておりました。
それは、幽霊ライフ始まって以来、雨の日も風の日も、ずっと私の傍に居てくれたお方......死神様のお手手でした。
どうしたのか、と私が振り返ると、そこには首をゆっくりと横に振る、死神様がおられました。
『今は肉美さんに任せな』
まるでそうゆう風に告げる仕草と表情......わかりました。表情はわかりませんが......わかりました。
肉美様から紹介頂くまで、私はここで直ぐにでも飛びつきたい衝動を抑えながら、必死に耐えてみせます!
見ていて下さい! 死神様!!
そうして肉美様が黒美様の下へ赴くと、何やら二人で語っておりました。
肉美様が私の紹介をしてくれたのでしょう。時折黒美様がこちらに視線を送ってこられたので、私はありったけの笑顔を返して差し上げました。
そんな私の笑顔に、黒美様からは相変わらずの冷ややかで私のM心を擽る眼差しを送って下さいました。
あぁ......やはり、あなたは素晴らしいです。
私の興奮が止まりません!
そうして暫く、私は二人のやり取りを何度か送られた黒美様からの視線による快感で恍惚とした表情を浮かべながら眺めていると、どうやら話が終了したようで、しかし、何故か肉美様だけがこちらに戻ってこられました。
「えっ......」
そして、肉美様は一瞬微笑んだ......? と思った矢先の事――と言っても、もちろんマスクでその表情はわかりませんが、そんな背筋が凍る怖さがありました――どうやら私の身体は宙を舞っておりました。
ど......どうゆうことでしょう? 気が付いたら私は大の字に地面に寝転がっておりました。そんな私を冷ややかな眼差しで見下ろす――ような雰囲気で――肉美様がおりました。
「あんた......あの子に何したんだい? 話の内容によっては......」
「あっ......」
そう言いながら、肉美様は私の大事な大事なあそこを踏みつけると、天に昇るかのように私の意識は薄れていきました。
あぁ、もちろん、あそこというのは輪っかの事ですけどね、おほほほほ。
こうして私の余命(?)......残り二十二日。




