KOKE-KOKKO
Q 救いは…あるんですか?
A 無いです。
「コッコッコ。」
たまごのからのむこうでお母さんがボクをよんでいる。
「お母さん、ボクもうすぐ生まれるよ。」
そう言おうとしたとき、
ボクはゴロゴロところがって、きがつけばお母さんとはぐれてしまった。
しばらくするとうごくのがおさまって、とてもあたたかいところにいたんだ。
あたたかいけど、じゃっかんあついきがする。
早くたまごから出ろとせかされているみたい。
ある日、たまごのカラをコツコツとたたいていると、ヒビが入った。
ボクはそのヒビをさらにコツコツたたいていると、たまごがわれて、
ボクは外のせかいに出た。
まわりにはいっぱいのボクの兄弟たちがいた。
「おはよう。」
「おはよう。」
みんな生まれてきたよろこびをいっぱいかんじている。
そんなとき、にんげんがやってきた。
「うーん、こんかいはオスがおおいな、ハズレだ。」
そういいながら、男の子はダンボールの中にどんどん入れられて、
女の子はべつのところへつぎつぎとはこばれていっちゃった。
う~ん、男の子の方だけすごくきゅうくつだ。
女の子はいいなぁ、そう思う。
男の子だけがどんどんダンボールの中に入ってきて、ボクももうつぶれそうだ。
ボクより早くダンボールに入った子の中にはつぶれている子もいるかもしれない。
そうやってくるしくなったとき、ボク達はだんぼーるごとべつのところにはこばれた。
そこでは、するどいはものが何本もギュンギュンと回っていた。
そこにはいってしまったらタイヘンだ。
そう思っていると、にんげんは、
「おまえたちおすのニワトリは、にくもかたいし、たまごも生まない。
大ハズレだ。」
といいながら、ダンボールの中に入っているぼくたちを、
はものがたくさん回っているなかに兄弟たちがおちて、
ギリギリとちぎれてその下におちていく。
ボクもその中におっこちた。
体がはさまれてちぎられる。
ギリギリ、ギリギリ…ギリ、
オスのひよこは孵ったらシュレッダー。
これが現実。