5
教室の窓から見える空が、とても青くて高かった。吹き抜ける風も心地いい。新緑が眩しい季節の到来って感じだ。
ふふ、もうすぐGWだな。今年は、どこへ行こう。
窓拭きをする手を休めて、天ちゃんと過ごす連休のプランを脳内に思い描いた。
去年の今頃は、まだ天ちゃんと知り合ったばかりで、同じ中学の後輩の一人として見ていた。夏休みの花火大会がきっかけで付き合い出したけれど、そのあとまるっと一か月おばあちゃんの家に帰っていたし、冬休みはイトコのお姉ちゃんの結婚式でハワイに行ってた。春休みは、お母さんに言われて、英会話スクールだ。
こうして、ふり返って見ると、わたしと天ちゃんって、ゆっくり過ごしたことがなかったんだなあ。仕方ないと言えば、仕方ないんだけど。お母さんには、彼氏がいることを伝えないで、秘密にしているから……。
そのとき、ふと気づいた。
これは、そのう。まじでヤバいかもしんない。
急に不安になってしまった。
あまり会えないうえに、付き合って一年近くになろうとしているのに、いつまでもキスをためらっているわたし。おまけに、親公認じゃない。はたして、こんな彼女、彼女と言えるのだろうか。
ううん、そんなの彼女じゃない! ただの女友達と同じ。一緒の立場じゃん!
昨晩のあっこの言葉が、脳裏によみがえる。
「あたし、知らないよ~。もたもたしてるうちに、他の女にとられても。天ちゃんを狙ってる子、いっぱいいるんだから」
絶対、そんなの嫌!
雑巾を放り出し、天ちゃんのクラスがある北校舎二階を目指して走り出した。




