表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/43

第38話 初めての爆発事故

研究所予定地――

まだ建物もない、ただの広い草原。

その中央に。

即席の作業台。

魔法陣。

工具。

そして――

レオンと、ガルド。

少し離れて、ミレナもいる。

ミレナ・アストラは緊張した顔で図面を握っていた。

さらに後方。

安全距離のつもりで見守るのは

伯爵、ディラン、そして

アルベルト・グランディス。

そして当然――

セレスティア・フォン・アルヴェリア。

王女は楽しそうに言った。

「実験日和ね」

アルベルトが低く言う。

「嫌な予感しかしません」

レオンが振り向く。

「大丈夫ですよ」

「今回はちゃんと制御します」

ガルドがぼそっと言う。

「多分な」

ミレナが小さく叫ぶ。

「多分って言いました!?」

レオンは苦笑する。

「まあまあ」

そして目の前の装置を見る。

浮遊板。

その後方に取り付けられた

小型爆発魔法陣。

推進用。

レオンが説明する。

「浮遊は安定してるので」

「前に進む力だけ追加します」

ミレナが言う。

「魔力出力は抑えてます」

ガルドが腕を組む。

「抑えすぎだと動かんぞ」

レオンが言う。

「最初は安全重視で」

王女が楽しそうに聞く。

「どれくらい進むの?」

レオンは答える。

「数メートル」

ディランが笑う。

「控えめですね」

レオンが浮遊板に乗る。

アルベルトが叫ぶ。

「待て!」

レオンが振り向く。

「なんです?」

アルベルトは言う。

「なぜお前が乗る!」

レオンは言った。

「開発者ですから」

ガルドが笑う。

「いい根性だ」

ミレナが青ざめる。

「やめた方がいいと思います!」

レオンは笑った。

「大丈夫」

そして魔石に手を置く。

「起動します」

ブゥン……

浮遊板がゆっくり浮く。

安定している。

高さは1メートル。

王女が言う。

「いい感じね」

レオンが言う。

「ここから」

「推進」

ガルドがニヤリとする。

「行け」

レオンは魔力を流す。

次の瞬間。

後方の魔法陣が光る。

――ドンッ

鈍い音。

そして。

「うおっ!?」

レオンの体が前に押し出される。

浮遊板が――

急加速。

「速っ!?」

ミレナが叫ぶ。

「出力強すぎです!」

ガルドが笑う。

「ちょうどいいだろ!」

レオンは必死にバランスを取る。

「ちょっと!」

「止まらないんですけど!?」

アルベルトが叫ぶ。

「制御しろ!!」

レオンが叫び返す。

「してます!!」

その瞬間。

バチッ

魔法陣が不安定に光る。

ミレナの顔色が変わる。

「共振してる!?」

レオンが叫ぶ。

「え!?」

次の瞬間――

ドゴォン!!!

爆発。

土煙。

衝撃。

数秒後。

静寂。

煙の中から。

黒焦げのレオンが出てくる。

服はボロボロ。

髪は逆立っている。

「……生きてる」

ミレナが駆け寄る。

「大丈夫ですか!?」

レオンは言う。

「多分」

ガルドが近づく。

「いい爆発だったな」

レオンがツッコむ。

「よくないです!」

アルベルトがため息をつく。

「だから言っただろう…」

王女は――

笑っていた。

「最高ね」

伯爵が思わず言う。

「王女殿下!?」

王女は楽しそうに言う。

「これよこれ」

「新技術って感じ」

ディランも笑っている。

「商売の匂いがしますね」

レオンは座り込む。

「いや」

「危なかった…」

ミレナが真剣に言う。

「原因は」

「出力過多と共振」

ガルドが言う。

「威力は足りてる」

レオンが言う。

「制御ですね」

アルベルトが頷く。

「方向性は正しい」

王女がレオンを見る。

「どう?」

レオンは笑った。

「いけます」

その目は。

さっきまでとは違っていた。

確信。

レオンは立ち上がる。

「次は」

「もっと安定させます」

ガルドが笑う。

「面白くなってきた」

ミレナも頷く。

「改良案あります」

こうして。

初めての実験は

大失敗に終わった。

だが。

同時に証明された。

爆発を使えば――

“飛べる”

ということが。

そしてこの失敗が

後の完成へと繋がっていく。

だが。

この爆発は――

当然。

周囲にも影響を与えていた。

遠くの丘の上。

煙を見つめる影が一つ。

「……見つけた」

低い声。

レオンたちはまだ知らない。

この発明を狙う者が

すでに動き始めていることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ