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第37話 危険な天才

応接室の空気が、少しだけ変わっていた。

理由は分かっている。

次の応募者。

王城でも扱いに困った人物。

王女が静かに言う。

「入って」

扉が開く。

ゆっくりと。

入ってきたのは――

黒いローブの男。

年齢は三十代前半。

無精ひげ。

どこか眠そうな目。

だが。

その奥にある光は異質だった。

王女が書類を見る。

「あなたが」

「元宮廷魔道具師」

男は軽く手を上げた。

「どうも」

気の抜けた声。

伯爵が眉をひそめる。

アルベルトが低く言う。

隣にいるのは

アルベルト・グランディス。

「名前は」

男は言った。

「ガルド・レイヴン」

その名前に。

アルベルトの目がわずかに見開かれる。

「……ああ」

小さく呟く。

「聞いたことがある」

ディランが小さく笑う。

「有名人ですか」

アルベルトは答えた。

「悪い意味でな」

レオンがぽつりと言う。

「やばそう」

王女が言う。

隣には

セレスティア・フォン・アルヴェリア。

「研究内容は?」

ガルドはあくびをしながら言った。

「爆発」

沈黙。

伯爵がゆっくり言う。

「やはりか」

王女は続ける。

「詳しく」

ガルドは肩をすくめる。

「魔力圧縮して」

「一気に解放」

レオンが言う。

「それって」

「普通の攻撃魔法じゃ?」

ガルドが笑う。

「次元が違う」

そして指を鳴らす。

パチン。

その瞬間。

指先に小さな光。

次の瞬間――

ボンッ

小さな爆発。

机の端が吹き飛ぶ。

伯爵が立ち上がる。

「何をする!」

護衛が剣に手をかける。

王女は手を上げる。

「待ちなさい」

ガルドは平然としている。

「威力は抑えた」

レオンが言う。

「今ので抑えたんですか?」

ガルドは頷く。

「本気出すと」

少し笑う。

「この屋敷吹き飛ぶ」

アルベルトが額を押さえる。

「やっぱり危険だ」

ディランは興味深そうに見ている。

「エネルギー効率は?」

ガルドが答える。

「最悪」

レオンが吹き出す。

「ダメじゃないですか」

ガルドは続ける。

「でも威力は最強」

レオンが考える。

「魔力効率を改善すれば…」

ガルドが言う。

「出来るならやってみろ」

レオンは笑う。

「やってみます」

ガルドの目が少しだけ変わる。

「……面白い」

王女が口を開く。

「なぜ宮廷を辞めたの?」

ガルドはあっさり言った。

「うるさいから」

伯爵が眉をひそめる。

「うるさい?」

ガルドは言う。

「危険だからやめろ」

「城が壊れるからやめろ」

「人が死ぬからやめろ」

肩をすくめる。

「全部正しい」

レオンが言う。

「いやそれは止められますよ」

ガルドは笑う。

「だから辞めた」

王女は少し考える。

そしてレオンを見る。

「どう思う?」

全員の視線がレオンに集まる。

レオンは言った。

「必要です」

沈黙。

アルベルトが言う。

「本気か?」

レオンは頷く。

「はい」

そして続ける。

「この人」

「制御できれば最強です」

ガルドが笑う。

「制御?」

レオンは言った。

「爆発じゃなくて」

「推進に使えます」

部屋が静かになる。

ディランが言う。

「推進…?」

レオンは浮遊板の図を思い出す。

「爆発の力で」

「前に進む」

アルベルトの目が見開かれる。

「……なるほど」

王女も興味を持つ。

「それは面白い」

ガルドがレオンを見る。

じっと。

そして言った。

「お前」

「変だな」

レオンは苦笑する。

「よく言われます」

ガルドは少し笑った。

「気に入った」

王女が言う。

「じゃあ決まりね」

伯爵が思わず言う。

「王女殿下!?」

王女はさらっと言った。

「ガルド・レイヴン」

「採用」

アルベルトが頭を抱える。

「研究所が爆発する未来が見える」

ディランは楽しそうだ。

「面白くなってきましたね」

レオンは苦笑する。

こうして。

レオンの研究所に

危険な天才が加わった。

そしてこの二人の出会いが――

空を飛ぶ魔道具を

ただの浮遊から

“飛行”へと進化させることになる。

だが。

その前に。

当然のように起きる。

最初の大事故。

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