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第30話 守る力

伯爵邸の応接室。

空気は静かだったが、どこか張り詰めていた。

クロード商会副代表

ディラン・クロードは穏やかな笑みを浮かべたまま、レオンを見ている。

レオンは少し考えてから言った。

「守るっていうのは」

「どういう意味です?」

ディランは指を組む。

「そのままの意味です」

「技術というものは」

「価値があるほど奪われる」

伯爵の目が細くなる。

ディランは続けた。

「商会」

「貴族」

「時には盗賊」

「様々な人間が動きます」

リシアが少し不安そうに言う。

「そんなこと…」

ディランは穏やかに言った。

「現実です」

その時。

後ろで腕を組んでいた

アルベルト・グランディス

が口を開いた。

「脅しか?」

ディランは肩をすくめる。

「忠告ですよ」

「私は商人です」

「戦うより取引が好きです」

アルベルトは小さく笑った。

「だろうな」

ディランは再びレオンを見る。

「我々クロード商会は」

「王都でも大きい商会です」

「護衛もいます」

「情報網もあります」

そして言った。

「協力すれば」

「この技術を安全に広げられる」

沈黙。

伯爵は静かにレオンを見る。

判断はレオンに任せるという目だ。

レオンは少し考えた。

そして聞く。

「独占じゃなければいいですか?」

ディランの眉が少し動く。

「つまり?」

レオンは言った。

「販売を手伝うのはいいです」

「でも独占はなし」

「いろんな街で使えるようにしたいので」

ディランは数秒考えた。

そして小さく笑った。

「……面白い」

リシアが少し驚く。

ディランは言った。

「普通は逆です」

「利益を独占したがる」

レオンは肩をすくめた。

「いっぱい売れた方がいいじゃないですか」

アルベルトが小さく笑う。

「こいつは本当にそういう男だ」

ディランはしばらくレオンを見ていた。

そして言った。

「分かりました」

伯爵が少し驚く。

「いいのか?」

ディランは頷いた。

「ええ」

「独占ではなく」

「協力契約にしましょう」

リシアの顔が少し明るくなる。

ディランは続ける。

「我々は販売網を提供する」

「あなた方は技術を提供する」

「利益は分配」

レオンは頷いた。

「それならいいですね」

ディランは笑った。

「成立ですね」

伯爵も頷く。

「悪くない話だ」

その時。

アルベルトがぽつりと言った。

「だが」

全員がアルベルトを見る。

アルベルトはレオンに言う。

「守る力は」

「確かに必要だ」

レオンが聞く。

「守る力?」

アルベルトは机の上の街灯魔道具を見た。

そして言った。

「この技術」

「街灯だけでは終わらない」

リシアが首を傾げる。

「どういう意味です?」

アルベルトはレオンを見る。

「魔法陣を理解している人間」

「それが何を意味するか」

少し間を置く。

「君なら」

「新しい魔道具をいくらでも作れる」

レオンは少し考えた。

そして言った。

「まあ」

「たぶん」

アルベルトは静かに言った。

「それが」

「力になる」

ディランも興味深そうに聞いている。

アルベルトは続けた。

「照明」

「通信」

「防御」

「輸送」

「魔道具は都市を変える」

そしてレオンを見る。

「つまり君は」

「都市の未来を作れる」

部屋が静かになる。

レオンは少し照れたように笑った。

「そこまでじゃないですよ」

だがアルベルトは真顔だった。

「いや」

「そこまでだ」

その時。

リシアがふと思い出したように言った。

「そういえば」

レオンが振り向く。

「はい?」

リシアは言った。

「昨日」

「レオンが書いてた設計図」

レオンは少し固まった。

アルベルトが聞く。

「設計図?」

リシアは普通に言った。

「空に浮く魔道具」

一瞬。

部屋が静まり返る。

ディランがゆっくり聞いた。

「……今」

「何と言いました?」

リシアは言った。

「空を飛ぶ魔道具です」

沈黙。

アルベルトがレオンを見る。

レオンは少し困った顔をした。

「いや」

「まだ試作です」

アルベルトは額を押さえた。

「……この男は」

ディランはゆっくり笑った。

「なるほど」

「これは確かに」

そして小さく言った。

「守る価値がある」

街灯から始まった魔道具の話は。

どうやら――

もっと大きな未来へ進み始めていた。

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