表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仇巡の残火行 (あだめぐりのざんかこう)― 信長への復讐譚  作者: 直助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/22

掃討の山

 山に、戻る。


 道は、同じだ。


 土だ。


 石だ。


 木がある。


 列は、変わらない。


 だが、


 前にいる敵は、少ない。


 山の中に、


 人がいる。


 逃げた兵だ。


 見つかる。


 槍が出る。


 短い。


 それで終わる。


 追う。


 倒れる。


 動かなくなる。


 市蔵は、止まらない。


 列は、進む。


 城は、ない。


 村も、静かだ。


 煙は、少ない。


 人の気配も、薄い。


 丹波は、


 もう終わっている。


 だが、


 列は、止まらない。



 昼。


 列が、止まる。


 木の陰だ。


 座る。


 水を飲む。


 飯を出す。


 固い。


 噛む。


 音がする。


 それだけだ。


 誰かが、言う。


「見たか」


 別の声。


「安土か」


「ああ」


 少し間がある。


 別の足軽が言う。


「すげえな」


「城じゃねえ」


「山だ」


 短い笑いが出る。


 だが、続かない。


 誰かが、声を落とす。


「……波多野」


 音が、少し止まる。


「磔だとよ」


 別の声。


「ああ」


「降ったのにな」


 誰も、すぐには答えない。


 やがて、


 別の足軽が言う。


「信長様だ」


 それで、終わるかと思ったが、


 もう一人が続ける。


「光秀様の母上よ」


 少し、間が空く。


「人質だったんだろ」


 別の声。


「らしいな」


「なのに、やるか」


 誰かが、息を吐く。


「やるんだろ」


 短い沈黙。


 誰かが言う。


「分かっててやる」


 別の声。


「さすがだな」


 少し、間。


「……魔王よ」


 笑いは、出ない。


 誰も、否定しない。


 風が、通る。


 葉が鳴る。


 それだけだ。



 誰かが、立つ。


 それに続く。


 列が、また動く。


 山の中だ。


 人の跡がある。


 踏まれた土だ。


 新しい。


 逃げている。


 追う。


 音がする。


 枝が折れる。


 走る音。


 すぐに止まる。


 短い。


 それで終わる。


 市蔵は、歩く。


 前を見る。


 槍を持つ。


 動かす。


 止まる。


 また歩く。


 丹波は、静かだ。


 市蔵は、歩く。


 前に、


 敵はいない。


 だが、


 列は、止まらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ