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仇巡の残火行 (あだめぐりのざんかこう)― 信長への復讐譚  作者: 直助


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不夜の灯

 夜。


 城下に、火がある。


 焚き火ではない。


 動かない光だ。


 上にもある。


 山の上。


 城だ。


 暗くならない。


 誰かが言う。


「夜だぞ」


 別の声。


「城だ」


 列は、ばらける。


 兵が、押し込まれる。


 家だ。


 戸が開いている。


 人の気配は、ない。


 誰のものかは、分からない。


 そのまま、入る。


 中は、暗い。


 だが、


 外の光が、入る。


 完全には、暗くならない。


 藁がある。


 座る。


 誰かが、袋を開く。


 固い飯だ。


 噛む。


 音がする。


 それだけだ。


 言葉は、少ない。


 食う。


 飲む。


 終わる。


 横になる者が出る。


 鎧のまま、


 そのまま倒れる。


 すぐに、


 音が消える。


 寝息だけが残る。


 だが、


 外の音が、消えない。


 市蔵は、横にならない。


 座ったまま、


 外を見る。


 明るい。


 夜だ。


 だが、


 消えない。


 山の上。


 城だ。


 あれが、


 信長の城だ。


 人が、


 あそこにいる。


 夜でも。


 火を絶やさず。


 あの高さで。


 市蔵は、見ている。


 動かない光だ。


 だが、


 消えない。


 昼とは、違う。


 だが、


 同じだ。


 夜でも、


 終わらない。


 市蔵は、目を閉じない。


 そのまま、


 光を見る。




 朝。


 まだ、


 光は薄い。


 人が、


 少しずつ動く。


 誰かが起きる。


 鎧が鳴る。


 外の音が、


 近くなる。


 声は少ない。


 列が、


 また作られる。


 理由は言われない。


 だが、


 皆、動く。


 市蔵も、立つ。


 槍を持つ。


 家を出る。


 外は、冷えている。


 空が、白い。


 山の上に、


 城がある。


 夜の光は、


 もう弱い。


 だが、


 消えてはいない。


 列が、動く。


 城を離れる。


 道が、開ける。


 ふと、


 横に広がるものがある。


 水だ。


 広い。


 端が見えない。


 静かだ。


 波がない。


 その中に、


 何かがある。


 山だ。


 逆さだ。


 城だ。


 揺れている。


 崩れそうで、


 崩れない。


 誰かが言う。


「海か」


 別の声。


「湖だ」


 それで話は終わる。


 市蔵は、見ている。


 動かない水だ。


 だが、


 どこまでも続いている。


 列は、止まらない。


 山へ向かう。


 湖は、背中に回る。


 見えなくなる。


 足が、


 土に戻る。


 山道だ。


 同じ道だ。


 同じ音だ。


 市蔵は、歩く。


 袖に、


 手は入らない。


 触れない。


 確かめない。


 それでも、


 歩く。


 列は、続く。


 丹波へ向かう。


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