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仇巡の残火行 (あだめぐりのざんかこう)― 信長への復讐譚  作者: 直助


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八上城の降伏

 山の周りに、

 人が残っている。


 城は、上にある。


 柵は、まだ崩れていない。


 だが、


 矢は、ほとんど飛ばない。


 山道に、見張りが立つ。


 焚き火。


 槍。


 同じ場所。


 同じ山。


 同じ城。


 戦は、動かない。


 誰かが言う。


「まだ持ってるのか」


 別の声。


「兵糧があるんだろ」


 短い沈黙。


 市蔵は、山道にいる。


 細い道だ。


 人が二人並ぶと、すれ違えない。


 木が多い。


 視界は、狭い。



 やがて、


 人影が出る。


 荷を背負っている。


 武士ではない。


 百姓だ。


 もう一人いる。


 僧だ。


 誰かが、低く言う。


「城へ行く」


 もう一人が言う。


「止めろ」


 声は、大きくない。


 だが、


 足が動く。


 百姓が気づく。


 荷を落とす。


 走る。


 山道は狭い。


 すぐに追いつく。


 槍が出る。


 止まる。


 体が折れる。


 僧は、逃げない。


 立ったままだ。


 槍が入る。


 静かに倒れる。


 荷が、地面に転がる。


 縄がほどける。


 袋が破れる。


 米だ。


 白い粒が、土に広がる。


 誰かが言う。


「終いだな」


 別の声。


「城は持たねえ」


 山の上は、静かだ。


 煙も、少ない。


 矢も、飛ばない。



 山の周りは、

 同じ景色が続く。


 日がいくつも過ぎる。



 朝。


 城の門が開く。


 矢は飛ばない。


 槍も出ない。


 人が降りてくる。


 武器はない。


 鎧も少ない。


 顔は、痩せている。


 誰かが言う。


「降った」


 それだけだ。


 山の周りの兵が、


 少しだけ動く。


 槍が下がる。


 声は上がらない。


 城は、まだ上にある。


 だが、


 八上城の戦は、


 終わっている。


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