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仇巡の残火行 (あだめぐりのざんかこう)― 信長への復讐譚  作者: 直助


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晒しの場

 足が、止まる。


 前で、誰かが手を上げている。


 声は聞こえない。

 だが、動きが止まる。


 家の陰から、人が出てくる。

 畑の方からも、戻ってくる。


 散っていた者が、

 少しずつ集まる。


 市蔵も、その中にいる。


 村の中心だ。


 広いわけではない。

 だが、家々が開いている。


 その真ん中で、木が運ばれている。


 長い材木だ。


 二人で持つ。

 下ろす。


 別の男が、杭を打つ。


 乾いた音がする。


 また、打つ。


 縄が、引かれる。


 結ばれる。


 杭が、立つ。


 市蔵は、見ている。


 何が作られているのか、

 考えるまでもない。


 晒し台だ。


 杭が立つ。


 縄が張られる。


 横木が掛けられる。


 手は止まらない。


 慣れている。


 誰も、迷わない。


 市蔵は、動かない。


 見ている。


 息が、少し深くなる。


 胸の奥で、

 鼓動が落ちる。


 重い。


 一つ。


 また一つ。


 遅い。


 市蔵は、目を閉じない。


 見ている。


 杭が、立つ。


 縄が、揺れる。


 その形が、


 別の場所を思い出させる。


 晒し場。


 あの時。


 並んでいた。


 木の上に。


 首。


 いと。


 市之助。


 小夜。


 三つ。


 並んでいた。


 市蔵は、動かない。


 胸の奥で、


 鼓動が、また落ちる。


 重い。


 深い。


 杭が、立つ。


 縄が、張られる。


 晒し台が、完成する。


 誰かが、声を出す。


 首が、運ばれてくる。


 匂いが立つ。


 血と、土の匂いだ。


 あの時と、同じ匂いだ。


 布に包まれている。


 一つ。


 置かれる。


 もう一つ。


 並ぶ。


 また一つ。


 市蔵は、見ている。


 その中に、


 三つの形がある。


 見慣れている。


 いと。


 市之助。


 小夜。


 並んでいる。


 市蔵の足が、動く。


 一歩。


 止まる。


 瞬き。


 風が吹く。


 縄が、揺れる。


 そこにあるのは、


 知らない首だ。


 市蔵は、立っている。


 鼓動は、


 まだ重い。


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