第10話 どうして
今回で10話です!ここまでやって来れたのが嘘のようです!よろしくお願いしますっ!
我の名は「アシュタルク」。人間からは『魔王』と呼ばれ、恐れられている。我は七百年前、魔王城で神によって作られた『星剣』を与えられた勇者に殺された。我は神から嫌われているようだ。あの時、勇者によって殺されたことを恨んでいる。我が人間に負けたのだ。そんなこと魔王としてあってはならない。そして現在に蘇った我はあの時の復讐を誓い人間を滅ぼすことにした。
我が蘇って手始めに人間界の中心である王都を七魔族に襲わせた。このことは人間たちに大きな影響を与えただろう。王もいなくなり王都はもう機能しなくなっただろうと思っていたが……。そんなとき
「魔王様!ご報告があります」
「なんだ、騒がしい」
「ブローデンが星剣によって倒されました」
「……!?」
我は驚いた。なせだ?なぜ今、星剣をもった者が現れるのか……?まさか、七百年後にも星剣が存在していたとは……。勇者が復活したのか?
「ちなみにその星剣使いは何者だ?」
「名は時野 渡といいます。私もなぜ、その者が星剣を与えられたのかがわからないのです。その者の周りに『番神』と呼ばれる者がいて、そやつが勇者から引き継いだ星剣を渡に与えたのかと思いますが……」
時野 渡……。勇者と同じような名前だ。勇者の名前もそのようなイントネーションだった気がする。我の手はなぜか震えていた。勇者が怖いのか?この我の手をここまで震えさせるとは……。
「その者と少し交えてみたい……。お前はその者を王都から比較的近いアステルダム国へとおびき寄せろ。
その時に王女をさらってこい。そうすれば、その者のボルテージも上がるだろう。もしできなくてもその者のボルテージが上がるならなんでも良い」
「御意」
勇者か……!我の体は震えているが、心はなぜかワクワクしている。あの時と同じ感覚を感じる……。嗚呼!このような高鳴り、蘇って初めてだ……。
⭐︎⭐︎⭐︎
「……っ!!」
「起きたか!サヤラ!」
三日後、俺はあのあと王都の城へ戻り負傷したサヤラと王、サランス王を保護した。三人以外の兵士は全滅、王子は行方不明のままだ。
「ここは、城っ!?」
西陽が差す部屋。サヤラは目をぱちくりと大きくあけて驚いている。そりゃそうだろう。死にかけたんだから。
「サヤラ大丈夫か?馬車から放り投げられていて炎の中にいたから火傷があると思うが、葉月が治癒魔法をかけたから大丈夫だ……」
「ナイラ王子は!?」
「ナイラ王子?あの王子か……。あいつは行方不明だ。俺たちが駆けつけた時にはもういなかったんだ」
サヤラはそれを聞いた瞬間、目に涙を浮かべて泣いていた。なぜ、あの嫌いと言っていた王子に対して涙を流すのか……。俺には理解ができなかった。
「なんで泣いているんだ?あいつに何かされたのか?」
「ううん。違うの、私あの人に助けられたの……!」
俺はサヤラから出た言葉を聞いた時無心になった。あの王子がサヤラを?サヤラのことを何もみていなかった王子が助けたとは信じがたかった。
「ナイラ王子は私が魔族に何度襲われそうになってもその時には私の前に立って守ってくれた。その時の姿は私の嫌いだったナイラ王子じゃなかったわ……」
「嘘だろ……。サヤラが言ってるのが本当ならあいつは仮面をかぶっていたのか……?でもなんでなんだ」
俺は疑問だった。なぜ、俺たちの前では仮面を被っていたのか。そのサヤラが最後に見た王子の姿がすごくいいやつなら尚更なんでなんだ?
「ナイラ王子がいないから理由はわからないけど、あの人は私のことを最後まで守ってくれたわ。あれが本当の姿なら何か深い理由があるのかもしれない……」
その時、奥の部屋のドアがノックされ、そこから葉月とデルンが入ってきた。入ってきた葉月とデルンはすぐにベッドへ駆け寄りサヤラの手を握った。
「サヤラさん生きていてよかった!私、死んじゃったのかと思ったよ!」
「サヤラさん生きていたのですか!私がもう少し早く駆けつけていればこんなことには……」
双方目をうるとさせて言っていた。俺も嬉しくなった。
「ありがとうございます。聞き忘れていたんですが、私と一緒に襲われたお父様とサランス王はどうなんですか?」
「どちらも治癒魔法をかけていて容態は安定しているから心配する必要はないよ。時期に目が覚めるだろうしね」
サヤラはほっと肩をおろした。サヤラは王と会いたいと言っていたが、まだ安静にしていた方がいいと思い寝かせておいた。
「そろそろ晩御飯だから俺たちは行くけど、サヤラは安静にしておくんだぞ!」
俺は西陽が差しているサヤラを横目に部屋を出た。
ご飯も食べてお風呂も入り、後は部屋に戻って寝るだけとなった。俺は部屋に戻るために雲に隠れて月明かりがいつもより差さない廊下を歩いていると、奥から女性の悲鳴が響き渡った。俺は悲鳴が聞こえた方に走って行くと、その部屋はサランス王が保護されている部屋だった。部屋のドアを開けるとそこには城の食事を持ってきたメイドさんとベッドに寝ているサランス王がいた。
「どうしたんですか!?」
「いや、サ、サランス王がっ!」
俺はベッドに寝ているサランス王をみると口から泡を吹いていた。俺はすぐに手を首に当て脈をはかった。
「し、死んでいる……」
俺がサランス王の死に驚いていると、後ろのドアから葉月やデルン、ララが来た。葉月たちがサランス王の顔をみた瞬間葉月は腰が抜けて地に着いていた。ララも手で口を押さえていて今にも悲鳴を出しそうだった。デルンは険しい顔をしていた。
「そんな……。治癒魔法をかけても助けられなかっただと……」
サランス王は容態が安定していたのになぜだ……。急に容態が悪くなったのか?誰かが殺したのか……?俺たちはそんなこと知る由もなかった。
サランス王の死後、王都では混乱が生じた。事件を起こした犯人を探しても何もわからなかった。巧妙な手口だったのだろう。
サランス王は隣国アステルダム国の王なのだから。このことは王都にも大きな影響を与えた。俺たちは王が死んだことをアステルダム国に報告すると直接アステルダム国へ来いと言われた。恐らく、王都の王を裁判にかけるのだろう。
そして一週間後、俺たちは馬車で事件が起こった道を通ってアステルダム国へと向かった。
「俺たちどうなるんだろう……」
「わかりません……。恐らく王がこの事件の責任を問われるのかと思います」
「だよねぇ……」
葉月は王が裁かれることに納得がいっていないようだ。王やサヤラはまだ完治していない状態での出発だっため無理はさせられない。横を走っているサヤラと王、ララが乗ってる馬車を見て俺は心配する。
「デルンはこの事件誰が起こしたんだと思う?」
「わかりません……。あのあとサランス王の体を調べたんですが、本当に何も跡形がなかったです……」
デルンでもわからないのか……。なら、これは本当にただ容態が急激に悪くなっただけなのか……。
「でもただ一つ言えるのが、これは誰かがやったってことね」
葉月が指を指して強気に言う。やはり俺もそう思う。
「私は治癒魔法をかけたのに急に死ぬわけないじゃん。ありえないよ……」
葉月は少し小声で言う。まるで治癒魔法の自信がなくなったかのように……。
ふと窓を見ると事件が起こった場所にいた、俺はそこを通ると気を引き締めた。
その後一日中先の見えない草原の道を進み、夕方頃にアステルダム国に到着した。到着すると俺は驚いた。
「なんかみんなの顔をみてると笑っている人がいないね……」
「本当だ……。貧しい人が多いな」
葉月が外を見て悲しい顔をする。アステルダム国の国民をみると王都よりも圧倒的に活気がないのだ。これとサランス王、ナイラ王子のせいなのだろうか……。
アステルダム国の城につくと客室に案内された。俺たちの客室の周りには兵士が多くついていた。警戒されているのだろう。
俺は警戒されている中外に出てみるとララがいた。
「結局ここにきたのはなんのためなんだ?」
「あぁ。明日ここの城で裁判が行われる。その裁判で責任を問われるのはシャーベルト王だ」
「やっぱりなのか……。犯人がわかればよかったのだが。王は何もしていないと思う……」
俺の心配そうな顔をみてララは笑って言う。
「大丈夫だ。君がそこまで心配する必要はない。きっと無実となるはずだ」
根拠もないそのララの言葉に俺は元気づけられた。ララがいう言葉にはなにか安心感があるような気がした。
翌日は雨が降っていて、空を見上げると黒い雲がかかっていた。支度をして外に出るとそこには浮かない顔をした葉月、デルン、王がいた。
「王様!言っておきたいのですが、今回の事件は王様のせいではないと信じています!」
「そうかい。ありがとう。渡君は優しいね」
王は少し楽になったような顔をした。俺の言葉で王が少しでも楽になってくれたらなら幸いだ。
裁判が始まると、現実世界と多少違うところはあったが裁判長らしき人が奥にいるところは一緒だった。
サランス王を殺した犯人がわからない状態での裁判だったためところどころアステルダム側の主張に反応しそうになることもあったが俺はデルンたちの顔をみて抑えた。
裁判が進み、熾烈さが増すと裁判長らしき人が王にこんな質問をした。
「本当にサランス王を殺した犯人はわからないのですか?」
「は……」
「犯人は私だ」
どこからか男の声が聞こえた。その声の主を探そうとした瞬間、
どおぉぉぉぉぉん!
と、激しい音とともに奥の壁が爆発した。爆発で発生した爆風が俺たちを襲う。俺は王の様子を確認しようとしたが、砂煙で見れなかった。砂煙があけ前を見ると俺は絶句した。
「よぉ勇者」
そこには黒と白が混ざったロングコートとマントを身にまとったやつとロックス、黒のオーラを放つナイラ王子がいた。
お読みいただきありがとございます!ようやく魔王が出てきました。伏線をはるのって結構楽しいですね。次の話も4日以内に投稿できたらいいと思います!




