図書館の場合
今、僕たちは机と対峙している。
静かな図書館で、物々しい雰囲気、顔になりながら、僕と友人は教科書といがみ合っている。──いがみ合っているのはこちらの勝手だけど。
なぜ図書館で勉強をしているのか?
答えは簡単。──試験が近いから。
先週のとある授業において突如として発表された試験。クラスメートの皆は落胆ばかりしていたものの、今僕の目の前にいる友人──余裕の表情をしている──はその当時、なぜか満面の笑みを浮かべていた。
──変人だろうか?
いや、違う。僕はかぶりを振る。
彼はいつも授業に追いついていて、かつ理解もしっかりとしている。そして学期終わりの定期試験では必ずや学年順位でトップに躍り出る程の実力の持ち主。だから、多分今回も余裕の表情をしていて、かつ満面の笑みを浮かべていた…………はず。
しかし。
それは杞憂だったようだ。
今、彼は教科書と向かい合ってはこめかみをいじっているし、髪を触りながら取り組んでいるし──これは悩んでいるのか? だとするなら、今回彼は学年順位でトップに躍り出ることはなかろう。
いや、それとも今している勉強が退屈だからか? そうだとするなら、髪をいじったりこめかみを触ったりするのも理解出来る。
──けど、結局はどっちの線もあり得る訳だよな。
はぁ。そう思って、僕は友人に話しかける。
「ねぇ」
「ん?」
「今回の試験、いける?」
そう言った時、彼はなぜか立ち上がった。そして──
「いけるよ。だけど」
「だけど?」
「勉強の邪魔をしたから、俺と勝負しろ」
と言って、どこからか持ってきた斧を座っている僕に振りかざしてきた。
──某RPGゲームの音楽が脳内に流れるとともに。




