なぜ、燃え上がったのか
はじめに
「異世界チート知識で領地経営しましょう」が炎上した全責任は、作者である私にあることを、明言致します。
さて、ここからは事の発端について、詳しく解説をしていきたいと思います。
全体を読んだ方が、分かりやすいのですが、流石に156話全部読むのは、無茶が過ぎます。
(;゜Д゜)//明日になっちゃう。
概要だけお伝えすることにしましょう。
まず、女主人公がいます。
この人が着火点です。
名前が江莉香さんなので、ここからは江莉香と呼びます。
江莉香さんは異世界に飛ばされた、日本の女子大生です。
単に女子大生属性を持たせたキャラではなく、出来るだけリアルな感じの、日本人として設計しました。
京都市在住で大学に通い、家族と共に戸建ての実家に住み、背が比較的高く、サービス業でアルバイトをしていて、ネット社会に適応しており、当然、東日本大震災も間接的に、経験をしています。
コロナは未経験。( ̄▽ ̄)//
本作は、ファンタジー作品ですので、バランスはとっていますが、出来るだけ生の日本人であるように心がけています。
この人の価値観の基本的なスタンスを説明いたしますと、民主主義、順法精神、四民平等、男女同権、戦争放棄、市場経済、基本的人権の尊重、環境保全。などといった、いわゆる戦後教育型の日本人です。
作品内でも異世界出身のもう一人の主人公が、良かれと思って買ってきた奴隷を見てブチ切れたり、魔法の力に目覚めたので、その世界の軍隊に入れられますが、トップと交渉して参戦要綱を防衛戦に限定させたりします。
異世界に飛ばされても、環境破壊を気にしたり、男女雇用機会均等法を守ったり、律義に専守防衛を実践するような人物です。
それでは、ストーリーを解説いたします。
江莉香さんが街を歩いていると、人にぶつかって怪我をさせてしまいました。
相手は栄養失調でフラフラでしたので、ぶつかっただけでも大事故になりました。
江莉香さんは責任を感じて、被害者を介抱します。
この被害者は同じ年頃の女性です。
名前をマリエンヌと言います。
マリエンヌは、行く当てが無いようだったので、ちょっとした財産と権力を持っている江莉香さんは、仕事を斡旋することにしました。
マリエンヌも納得して、楽しく夕食を共にしていると、突然、マリエンヌが、仲間の女魔法使いにより逮捕されます。
この女魔法使いは江莉香さんの友人で、お師匠様みたいな人です。
逮捕した理由を聞くと、この女性はお尋ね者で、謀反を企んだ人物の娘だったようです。
謀反人の娘だったため、この世界の司法により連座制が適応され、マリエンヌは司法組織に連行されて行きます。
そして、親父の刑が確定すると、マリエンヌも連座して死罪になると知ります。
この手続きは、この世界では完全に合法です。
しかし、江莉香さんは連座制で罪も犯していない人が、親類と言うだけで逮捕されるなんて間違っていると憤ります。
そのため、自身に累が及ぶのもという一抹の不安はあるものの、無実のマリエンヌを助けようとしました。
これが粗筋です。
実際にはもう少し複雑で、江莉香が第一章で巻き込まれた戦争に、マリエンヌの親父が関わっていたようで、この親父のせいで多くの人が死に、江莉香の友達もひどい目に遭いました。
いわば、江莉香にとっても、この陰謀を企んだ親父は敵という事です。
しかしながら、江莉香さんはその辺りの事情を知った後も、「それはそれ、これはこれ」と、陰謀を企んだ人物と、その娘であるマリエンヌを分けて考え、マリエンヌの為に司法の場で戦う決心をし、弁護士を探すのでした。
周囲の人たちは、自分というよりかは、江莉香に累が及ぶことを恐れて、彼女を説得しようとしますが聞き入れません。
困った人です。(;´・ω・)//
江莉香がマリエンヌを助けようとする理由は二つです。
一つ。「連座制? ふざけんな。犯罪に関係ないのに、なぜ逮捕されなきゃならないのか。そんなの間違っている」
この世界の、江莉香から見た不条理な法制度への怒り。
一つ。「仲良くなった友達が、言われない罪で裁かれようとしている。座視できるわけがない。そもそもとして、友達を助けることに理由が必要か? 」
感情の爆発。
はい。以上です。
因みに、江莉香以外の登場人物は、彼女の憤りが理解できません。
この世界では合法ですので、マリエンヌが連座することを当然と考えています。哀れぐらいには思いますけど。
皆さま、何処が炎上したか分かりましたでしょうか。
ここでのキーワードの一つが「連座制」です。
今ではあり得ませんが、昔の日本には普通に存在した法解釈です。
そして、心情的には今でも日本人の心の奥に、くすぶっている感情です。
この連座制への認識が、江莉香と一部の読者さんとの間で、決定的な齟齬を生みだしたと、考えています。
江莉香は連座制に対して、その必要性を一切認めていない人です。
法的解釈だけではなく、犯罪者の親類だからといって、その人まで準犯罪者扱いする感情を理解しません。
むしろ、犯罪者の親類と言うレッテルを張られた人に「大変でしたね」と、同情します。
勿論、それまでの態度を変えたり、付き合いを控えたりなんかしません。
堂々と今まで通り、お付き合いします。
江莉香にとって犯罪者が受けるべき社会的制裁は、犯罪者だけで完結しています。周りには一切波及しないものです。
そのため犯罪者の親類を、この犯罪者と同一視したりしません。
なぜ、その様な事をするのかも理解不能です。
ですので、その不条理と戦おうとしました。
当然、周りは止めますが、頭に血がのぼっているので聞き入れません。
この人、頭はいいのですが、やや癇癪持ちの気があります。
これは私が設計した訳ではなく、物語が進むにつれて自然とそうなりました。
そして作者である私は、最近は彼女の好きにさせています。
江莉香はよその国で、日本の法律を適応させようとしている、痛い人ではあります。
ただし、無理やり法解釈を捻じ曲げようとまではしません。この世界の司法制度に則って戦おうとします。
ですが、日本の諺にもある様に「郷に入っては郷に従え」という、感覚もあります。
江莉香はこの辺りを、踏み外してはいますね。
次の要素は、江莉香の不自然な態度です。
ここも大きな要因の一つだと思います。
助けようとしたマリエンヌが、出会って数日しかたっていない人物であったことも、批判に大きくかかわっているでしょう。
たいして親しくもない人物の為に、身体を張っているわけですから、不自然と言えば不自然です。
この点に関しましては、私の描写不足でしょうね。
ただ、親しい人物を助けるとなると、理論よりも感情や利益が優先いたします。
感情による心の動きは異世界人のメンタリティーと共通になってしまい、江莉香が抱えている現代日本人の価値観を、表現しにくいんですよね。
あくまでも、日本人としての姿を描きたい。
江莉香の動機の20%ぐらいは、自分の勝手な正義感ですね。
正義感というものは、基本的に反論を受け付けないので、それだけに強い力を持っていると考えます。
この辺りも鼻に付くっちゃ鼻に付く。
作者としては悩ましいです。
最後の失敗は「甘え」です。
始めにも書きましたが、このシーンまでたどり着くには、数時間かけなければなりません。
たまたま立ち寄った読者さんなど、存在しません。
仮にそのような人がいた場合は、その人の意見は私が気にしたりしません。
ここまでたどり着いた読者さんは例外なく、本作の常連さんという事です。
本作は、不条理にも異世界に飛ばされた「現代の日本人の苦闘」が、テーマの一つですので「異世界転移だ。ヤッホー」な作品とは、明確に一線を引いています。
当然ですが、ストレス表現もてんこ盛りです。
実際に私は、江莉香さんを結構泣かせています。
この人が現実世界に顕現すれば、私は間違いなく刺されるか、最低でも訴えられるでしょう。
また、文明の劣った異世界でお偉い日本人様が、意味不明なスキルを使ってドヤる要素も一切ありません。
むしろ、その様な作品に対してのアンチテーゼとして設計しています。
二人の主人公は、成功はしていますが、手軽な成功は一つもなく、常に悪戦苦闘しています。
ですので、私の中に、
「読者さんは、分かってくれている。このテーマが気に入らない人は、とっくに離脱している」
という、思い込みと申しますか、甘えのような物があったのでしょう。
しかし、これは決めつけであって、現実ではありません。
ストレス表現が嫌いな人は、嫌いですからね。
私も別にそれが好きという訳ではありません。ストレス表現を入れないと、ストーリーが嘘くさくなるので、投入しているにすぎません。
以上三点が、主な着火点になったのではなかと、分析いたしました。
次回は、炎上した場合の対処法について、考察していきたいと思います。
もう一度宣言いたしますが、本作が炎上したのは、作者である私の責任であります。
続く
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回で終わりだと思います。
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